“ごみ”には出しにくい…古い数珠って、どうやって処分する? 僧侶の回答が深すぎる
27歳の記者は、保育園の年長から使い続けている数珠がある。祖母(80)が親戚からもらった石を使い、仕立ててくれた数珠なので大切にしてきた。しかし、大人になってからは手の大きさに合わなくなり、いよいよ買い換える時期がきた。ただ、古くなった数珠をどう処分すればいいのか分からずに困ってしまった。捨てると仏様の罰が当たりそうで、「燃えないごみ」の袋に入れることに抵抗を感じた。数珠に限らず、位牌や仏壇などはどう処分すればいいのか? 善光寺(長野市)と善光寺仲見世の仏具店に聞いてみた。(中島瑞穂)
善光寺仲見世の「やなぎ屋仏壇店」の店頭には、さまざまな色の数珠や鈴、木魚などが並んでいた。山口剛史社長(51)は「仏具を処分品として預かって、寺でお焚き上げしてもらうこともできる」と話した。お焚き上げというと、古くなったお守りやお札を年末年始に集めて燃やす印象が強い。数珠も燃やすのだろうかと疑問に思って聞くと、「さすがに石は燃えない」と当然の返答。「燃やせる物は燃やし、燃えないものは不燃物として自治体のルールに従って処分する」
数珠の材料には、石や木、貝殻などがある。記者の数珠は石だ。居住する長野市の生活環境課によると、石は長野市では処分していないため、「燃えないごみ」には出せない。そのため、自分で廃棄物処理業者に持ち込み、有料で処分してもらう必要がある。
仏具店に処分を頼んでも、結局は自治体のルールに基づいた処分方法になる。ただ、山口さんは「位牌や仏壇を処分する際は、寺でお経を上げてもらってからのお焚き上げを勧める」と話した。山口さんの店には、古い仏壇の処分に関する相談が月に数件あるが、「どの処分方法が一番いいとは一概には言えない。使っていた仏具に仏様の魂が宿ると考えるか、考えないかで選ぶ処分の方法は変わってくる」。
善光寺の若麻績善正・教務部長も「仏壇や位牌などは仏様の魂が宿っているので、処分の前に魂抜きをした方がいい」と話した。善光寺は位牌などの供養を受け付けており、お経を上げて魂を抜いた後は、自治体のルールに従って処分するように伝えている。ただ、「数珠は魂抜きの必要はあまりない」と言う。それでも、数珠にも魂が宿ると考える人は、魂を抜いてから処分する方法を選べばよいそうだ。
では、毎日のように数珠を使う僧侶は、古くなった数珠をどのように処分しているのだろうか。若麻績さんは「数珠のひもが切れてしまうことはあるが、修理をしたり、サイズが合わなくなったら石を追加したりして長く使っている」と話した。「仏具や仏壇に限らずだが、物を何度も買い替えることを前提にすべきではない。長く、大事に使うに越したことはない」
数珠は、仏具店などで“修繕できる物“と初めて知った。祖母に仕立ててもらった数珠は、今の自分には小さくなったが、石を追加してひもを長くすれば使える大きさになるのだ。記者は長年使って愛着がある数珠を捨てずに、大人用に修繕することにした。祖母からもらった数珠を、これからも大切に使っていきたい。