今まで「土は耕すほど良くなる」と信じていた人にとって、この本は衝撃的かもしれない。なにしろ耕すことは土の健康にとって害だというのだ。「環境再生型(リジェネラティブ)農業」の基本は「耕さない(不耕起)」「雑草を生やす」「農薬も化学肥料も使わない」。米国では…
キャンプの季節。森の空気、風の音、朝露の輝き…。自然を感じながら味わうコーヒーは格別だろう。釣りや登山を愛する「アウトドアライフ歴35年超」の著者は、この魅力にはまっている。野山でコーヒーを飲む時に…
梅雨の季節の憂鬱(ゆううつ)は、やたらにカビが跋扈(ばっこ)することだ。特に困るのは、書棚と本にまで触手を伸ばすこと。食品ならば冷蔵庫に隔離すれば済むが、書棚を置く部屋のクーラーをつけっぱなしにするのはエコじゃない。 そんな思いを胸に本書を手に取り…
「くま子さん」とは、作者の高橋和枝さん自身のこと。40代、独身の在宅ワーカーで、猫と一軒家に暮らす。「火曜日のくま子さん」は、彼女の特別ではない日々を描いた、7年にわたる短編漫画集だ。 1年め。くま子さんの日々は…
古典落語の名手で、歯に衣(きぬ)着せぬ毒舌でも注目を集めた故・立川談志さん。そのもとで約10年修行した上田市(旧丸子町)出身で落語家の著者が、師匠が残した46の名言を“超訳”付きで一冊にまとめた。 例えば「憎しみは最高のエネルギー」。型破りゆえ若い頃から…
「みんなと協調できない子は乞食(こじき)(原文のまま)になるしかない」「この中に音痴がいる」。学校は、生徒に同質であることを求める場所だ。今は多少改善されているかもしれないが…
脳の働きに関する実験データは山のようにある。著者は、その膨大なデータをジグソーパズルのピースに例え、これ以上ピースを集めるよりも、まずパズルの縁を完成させる理論を構築しようと取り組んできた。神経科学者であると同時に起業家としてIT業界で成功を収めた著者は…
「大ロシア主義の矛先はやがてウクライナなど西へ向かう。世界は事態の深刻さに気付き、あわてふためくだろう」。1995年末、著者の取材に、ロシア南部チェチェン共和国のドゥダーエフ大統領は…
著者は2009年、会社を早期退職して東京から須坂市へ移り住み、ブドウやリンゴなどの栽培に携わる。しかし、ただの脱サラ農家ではない。学生時代から反公害、反戦、被災者支援などの市民運動に参加。1988年から21年間、月刊「ピースネットニュース」を…
2018年11月9日、ソウルの繁華街からそう遠くない一角にある「国一考試院」で火災が起き、7人が亡くなった。「考試院」とは、本来は大学や公務員試験の受験者が勉強する小部屋であった。それがいつしか高い賃料を払えない学生や日雇い労働者のための簡易宿所と化した。 考試院は現代版「チョッパン」と呼ばれる。耳慣れない語が共通して示すのは…
日付は重要だ。たとえばわが家では、入籍と結婚式が別の日なので、どちらが結婚記念日なのかを毎年確認しないと、家庭内「分断」を招きかねない。 日付が人の機微に触れる問題であるのは国際政治でも同じだ。日韓関係においても、1919年の朝鮮独立運動を…
デジタルカメラやスマートフォンの登場で、誰でも気軽に写真が撮れる現代。「いい写真とは何か」という問いは、切実さを増している。約30年前に23歳でアジアを放浪し…
20代は将来を夢見る世代だ。そんな時期、大学院で学び、博士号を取得して大学教授になることを目指していたのが、著者サヘル・ローズさんの養母、フローラ・ジャスミンさん。当時イランでは…
多大な犠牲が払われた戦争をはじめ、震災や公害、多様な民族文化を伝える全国各地の博物館・資料館など23館を紹介する。記憶の風化が進む中、一度は訪ねて…
京都の三十三間堂に並ぶ1001体の観音像の中に、必ず自分に似ている1体があると言われている。本書に収載された人生相談の数々に触れて、僕は…