【上高地の1世紀 歩みとこれから】⑯地域と共に 感謝かみしめて 高まった利便性 9月に全線開業100年
■第2部 上高地線 歴史と紡ぐ思い⑤
鉄道敷設は多年の宿望―。1920(大正9)年設立の筑摩鉄道に始まる上高地線の歴史。当時の筑摩鉄道の創立趣意書には、交通の恩典に浴していない地域が鉄道建設を待ち焦がれていた様子が記されている。
初代社長を務めた上條信(1884~1950年)は旧新村(現松本市新村)出身。北アルプスの観光開発と、輸送の近代化による地域振興を目指し、鉄道の敷設に奔走した。「新村の人が造った電車。地域の思い入れは深い」。新村駅周辺の住民でつくる「上高地線応援隊」代表の山口茂さん(69)はそう話す。
応援隊はアルピコ交通(松本市)とともに、駅併設の新村車両所を会場に「鉄道まつり」を開いてきた。車両所の公開やミニSL試乗などで地域ゆかりの鉄道に親しむ機会を提供。新型コロナウイルス拡大の影響で2019年を最後に開催できていないが…