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LGBT寄稿 自民は差別容認なのか

 月刊誌への寄稿で性的少数者(LGBT)のカップルは「生産性がない」などと記し、行政支援などに疑問を呈した自民党の杉田水脈衆院議員に対し、抗議行動が広がっている。

 「『LGBT』支援の度が過ぎる」と題した寄稿である。「生産性」発言は、性的少数者を社会に無益な存在と見なして排除する優生思想に通じる。人権を軽んじた差別的発言と言わざるを得ない。

 ほかにも問題は多い。「(LGBTは)そんなに差別されているのか」という記述は、不当な扱いに苦しむ当事者への認識不足である。同性愛を認める風潮は「不幸な人を増やす」とも述べている。

 さらに「『常識』や『普通であること』を見失っていく社会は『秩序』がなくなり、いずれ崩壊していく」と結論づけている。性の多様性を誤解と偏見に基づき否定する内容である。

 杉田氏は数年前から同様の発言を繰り返している。今回に限り筆が滑ったという内容ではない。

 基本的人権を尊重し、当事者が置かれた環境を改善していくのが国会議員の役割だ。寄稿は当事者を傷つけ、存在意義を否定しかねない。杉田氏は批判をどう受け止めるのか。見解を示すべきだ。

 自民党の対応も問題だ。

 二階俊博幹事長は会見で「人それぞれ政治的立場はもとより、いろんな人生観もある」と語り、問題視しない考えを示している。

 杉田氏は「『間違ったこと言ってない』などと、大臣クラスの方をはじめ、先輩方が声をかけてくださる」などとツイッターに投稿し、その後削除している。

 議員の発言は自由でなければならない。ただし、人権に配慮し、事実を論評した責任ある発言であることが前提だ。

 発言容認は党が差別を認めることになり、見識が問われる。

 自民党は2016年に「性的指向、性自認の多様な在り方を受け止め合う社会を目指す」との基本方針を公表した。それでも人権感覚に欠く発言が相次いでいる。

 二階氏も6月の講演で「子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と述べている。伝統的な家族観を重んじる風潮が党内に根強いことの裏返しだろう。

 県内をはじめ全国では、当事者らが同性パートナーシップ制度の設立や理解促進を求める請願を、地方議会に提出する動きが出ている。当事者の訴えを受け止められなければ、自民党の基本方針はうわべを繕った詭弁(きべん)にすぎない。

(7月31日)

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