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真っ赤な気球のような巨大な玉が長崎市の立体地図に浮かぶ。原爆の爆心だ。周りに折り重なるように並ぶ顔写真。クリックすればその人の被爆体験が文章や動画で語られる。インターネットのサイト「ナガサキ・アーカイブ」である

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顔写真は1945年8月9日の原爆投下時にいた位置を示す。〈少しピンクがかった閃光(せんこう)が走り爆風に襲われた…ふと横を見るとさっき話していた友人が真っ黒焦げになり死んでいた〉。爆心地から約500メートルの旧制鎮西中学校で被爆した男性の証言だ

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電通社員の鳥巣(とりす)智行さん(35)らが製作した。長崎出身の被爆3世。核廃絶を目指す「高校生1万人署名活動」の経験もあって、コピーライターの傍ら休日を利用し被爆体験の継承活動を続けている。アーカイブは世界の誰もが原爆の実相を追体験できるようにと考えたアイデアだ

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被爆者は高齢化が進み、証言を聞き取ることが困難になってきた。NHKがこの夏、18、19歳を対象に行った世論調査によれば「終戦の日を知らない」との答えは14%に上る。このままでは被爆の記憶が若者や子どもたちに伝わらず、風化が進んでいく

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継承活動に取り組む30代は案外多い。広島の被爆3世で東京の女性は3年前、第三世代が考えるヒロシマ「」継ぐ展を始めた。原爆と平和を学び「」の答えを一人一人探してほしいという。小欄は、当たり前に続くはずの日常と未来を一瞬に奪う「核の恐怖」と考えた。読者はどうか。

(8月9日)

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