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満蒙の記憶 私も受け継ぐ 松川高生が阿智の記念館案内

満蒙開拓平和記念館で、県外の高校生らに青少年義勇軍の服などを説明する松川高ボランティア部員(中央奥)=9日、阿智村満蒙開拓平和記念館で、県外の高校生らに青少年義勇軍の服などを説明する松川高ボランティア部員(中央奥)=9日、阿智村
 全国高校総合文化祭「2018信州総文祭」3日目の9日、松川高校(下伊那郡松川町)ボランティア部部員が、ボランティア部門に参加している県外の高校生ら約50人に、満蒙(まんもう)開拓平和記念館(同郡阿智村)を案内した。満州(現中国東北部)に県内から全国最多の3万人余が渡り、敗戦時の混乱で大勢が死亡した満蒙開拓。その歴史を受け継ぐ役割を同世代にも広げてもらおうとの思いを込めた。

 「73年前の今日、満州にソ連軍が侵攻しました」。部長の塚平健吾さん(18)は、集団自決を迫られるなど、開拓団員に多くの犠牲を出すことになるソ連侵攻から説明を始めた。

 全国から集まる高校生に戦争の悲惨さを伝えたい―。部員たちは昨秋、日本が国策として進めた満蒙開拓の歴史を伝える全国初の施設である同館でボランティア養成講座を受講。これまで知らなかった事実に衝撃を受けた。ただ、自分たちも学習を始めるまで戦争への関心は薄かった。全国の高校生に「分かってもらえるだろうか」との不安があった。

 この日、同館では部員18人のうち9人が手分けして案内した。少しでも分かりやすく伝わるように事前に台本を作成。開拓団員の逃避行についても「泥水を飲んで生き延びた」など具体的な表現を使った。説明を聞きながら高校生は何度もうなずいていた。松川高1年の大平一真さん(16)は「みんな徐々に真剣な表情になっていった」。

 記念館の見学後、一行は元開拓団員ら語り部4人から話を聞いた。14歳で満州に渡り、73人の仲間を集団自決で失った久保田諫(いさむ)さん(88)=同郡豊丘村=も講演。先輩の男性と小さな石で互いに殴り合ったが死ねなかった体験を話し、「70年余の平和を守るにはどうしたらいいか、考えてほしい」と呼び掛けた。

 福島県磐城第一高校3年の天野伶菜さん(17)は「私が集団自決の現場にいたら、どうしていただろうと考え続けている」と話す。福島県からは全国で4番目に多い1万2千人余が満州に渡った。「私も松川高校の人たちのように、地元で満蒙開拓の歴史を伝えることができるのでは」と考え始めている。

(8月10日)

長野県のニュース(8月10日)