長野県のニュース

北朝鮮 非核化の決意を行動で

 非核化の決意を内外に示してほしかった。

 建国70年を迎えた北朝鮮は、軍事パレードで核戦力を公開しなかった。米本土を狙う大陸間弾道ミサイルも、韓国と日本を射程に収める短・中距離ミサイルも封印した。

 関係改善を目指す米国や、首脳会談を控える韓国への配慮とみられる。ただ、金正恩朝鮮労働党委員長の演説はなく、所信をうかがうことはできなかった。

 先週、韓国の文在寅大統領の特使団が訪朝した際、正恩氏は、非核化に動き始めた北朝鮮に対する国際社会の評価が低いことに不満を漏らしていた。

 確かに金政権は、米朝首脳会談を前にした5月、北東部の核実験場を爆破した。7月には、北西部の衛星発射場の施設解体に着手したとの情報もある。

 半面、米国内では、北朝鮮が首脳会談後も放射性物質やミサイル開発を続けているとの専門機関の分析、証言が相次いでいる。秘密のウラン濃縮施設の存在も指摘されている。

 半世紀にわたる核開発の全容は定かでない。核弾頭数は10〜20発、最大で60発との推定もある。関連施設や核兵器の保有量が不明瞭なまま、国際社会の理解を求めるのは無理がある。

 施設の申告を促す米政権に対し金政権は「交戦相手に手の内は明かせない」と拒んでいる。先に朝鮮戦争の終戦宣言を採択するよう訴える根拠としている。

 建前に過ぎるだろう。正恩氏が繰り返す「朝鮮半島を核兵器のない平和な地にする」が本気なら、もっと行動に移してはどうか。

 まず、核施設と核戦力の詳細を明らかにしてもらいたい。廃棄や解体の際は、国際原子力機関、包括的核実験禁止条約機構の立ち会いを認め、逐次、各国の承認を得る必要がある。

 北朝鮮は核放棄の目的を国内の「経済建設」に置く。経済制裁を解く場は国連であり、その機運を高めるのは国際世論であることを忘れてはならない。

 拉致被害者の再調査で日本と合意した2014年の「ストックホルム合意」について、北朝鮮の対日外交担当幹部が「無効だ」と述べている。日本が科す独自制裁を解除しなければ、対話再開に応じない構えのようだ。

 日韓の拉致問題、北朝鮮で拘束されている十数万の政治犯といった深刻な人権侵害を解消しない限り、金政権の国際社会復帰はおぼつかない。核と同等に重い課題であることを自覚すべきだ。

(9月11日)

最近の社説