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風疹の流行 感染防ぐ鍵は男性に

 風疹の患者が首都圏を中心に急増し、全国的な大流行につながる恐れが出ている。妊婦が感染し、赤ちゃんに影響が出るのが心配だ。感染の拡大を防ぐには、男性が当事者意識を持つことがとりわけ大切になる。

 国立感染症研究所によると、今年の患者数は8月26日までに273人に上り、既に昨年1年の3倍近くに達した。首都圏以外でも目立ち始めている。長野県内でも8月に2人が確認された。

 2012年から翌年にかけて大流行した際には1万6千人を超す患者が出た。そのときと状況が似ているという。政府だけでなく自治体も、危機感を持って拡大防止に取り組まなければならない。

 特に気をつけなくてはならないのが妊娠初期の感染だ。先天性風疹症候群を引き起こし、赤ちゃんが難聴や心臓病、白内障などになる恐れがある。前回の大流行時には45人の報告があった。そのうち11人が死亡している。

 風疹はワクチンを接種しておけば防げる。妊娠を望む女性は、抗体があるかどうかをあらかじめ確かめ、なければ早めに接種することが大事だ。抗体の検査は無料で受けられる制度がある。

 本人だけでなく、夫や家族、職場の同僚といった周りの人たちが予防することも欠かせない。患者の多くは30〜40代の男性だ。その年代の男性は免疫がない人が少なくないという。何よりそのことを当事者が自覚する必要がある。

 風疹のワクチンは1977年に法定の定期接種になったが、当初は女性だけが対象だったため、79年4月1日以前に生まれた男性は接種を受ける機会がなかった。39歳以上の人が該当する。

 また、90年4月1日以前に生まれた人は、男女とも接種が1回だけだった。ワクチンの効果が足りず、抗体が十分にできていない可能性がある。28歳以上の人だ。

 学校での集団接種でなくなったために、接種を受けなかった人もいる。子どものころ風疹にはかかったから大丈夫という油断も禁物だ。はしかなど別の病気と勘違いしていることが少なくない。

 風疹のウイルスはくしゃみやせきで広がり、感染力が強い。家や職場に限らず、公共の場や人混みで感染が広がる恐れがある。

 抗体検査や予防接種を受ける男性が増えれば、生まれてくる赤ちゃんを守ることにつながる。費用の助成をはじめ、後押しする仕組みを、政府、自治体は検討すべきだ。手をこまぬいて大流行を再び招いてはならない。

(9月11日)

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