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災害の避難所 在り方から見直しを

 災害のたびに、難を逃れた人たちが身を寄せる避難所の生活環境を改善する必要性が指摘されている。

 助かった命が再び危険にさらされることがあってはならない。避難後に亡くなる「災害関連死」を防ぐためにも、避難所の質の改善に本腰を入れる必要がある。

 最大震度7を記録した北海道の地震では大勢が集会所や体育館に避難。硬い床に横にならざるを得ず、寒さで眠れない人がいた。厳冬期なら状況はより深刻になるだろう。自宅が壊れた人は多く、避難の長期化が懸念されている。

 7月の西日本豪雨でも、暑さやプライバシーの確保が問題になった。雑魚寝が続くなど劣悪な避難生活のストレスで体調を崩す人は多い。高齢者や持病を抱えた人はなおさらだ。

 関連死は、これまでの大規模災害で相次いでいる。2016年の熊本地震では200人を上回り、建物の倒壊などで犠牲になった直接死の4倍を超えた。避難所を敬遠して車中泊を続ける人が多く、エコノミークラス症候群の発症が疑われる人が相次いだ。

 避難所は災害対策基本法に基づき市町村が指定する。内閣府が2016年にまとめた避難所運営ガイドラインはトイレ確保や物資供給、情報提供などで市町村が取り組むべき内容を示している。現状は、ガイドラインさえ十分に機能しているとは言い難い。

 避難所には、「スフィア基準」という国際基準が存在する。国際赤十字などが1998年にまとめた。1人に必要なスペースは3・5平方メートル、トイレは20人に一つで男女比は1対3にするといった具体的な目安を示している。

 内閣府のガイドラインは50人に一つのトイレ備蓄を求めるなど不十分との指摘がある。スフィア基準についても参考情報としての紹介にとどめている。国際基準との隔たりをどう埋めていくか。海外の具体的な事例も参考に検証しなくてはならない。

 「被災者には尊厳ある生活を営む権利がある」とするなど同基準の理念にも注目したい。災害時の我慢は当然といった考えは残っていないか。避難所の質を考えていく上で確認しておきたい。

 近年、被災地には全国から物資が届くようになった。災害時の支援は広がりを見せている。大災害では被災市町村の職員の負担が過重になるケースがある。県や他市町村と連携した運営、最低限整える設備など、まずは目指す避難所の姿から見直すべきだ。

(9月12日)

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