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ふるさと納税 返礼品は直ちに廃止を

 野田聖子総務相が、ふるさと納税制度を法規制すると発表した。

 地方自治体が寄付者に贈る返礼品を地場産品に限定し、調達費を寄付額の30%以下にするよう法律で規定。違反した自治体は制度から除外する。

 故郷への恩返し、関心のある自治体を応援―。そんな狙いで始まった制度は、高額商品を呼び水に寄付金を募る自治体間の過剰な競争を招いた。住民税の受益者負担の原則を損ねてもいる。

 返礼品は廃止すべきだ。

 菅義偉官房長官が総務相の時に提唱し、2008年に導入された。納税者が好きな自治体に寄付すれば、2千円の自己負担分を除いた全額が主に住民税から控除される。3万円を寄付した場合、税金は2万8千円減る。

 受ける自治体にすれば、行政サービスを提供せずに収入を得られる。海外ホテルの宿泊券、電化製品、高級食材…。争って返礼品を充実させた。安倍政権が15年、地方創生の一環で寄付額の上限を拡大し、拍車が掛かった。

 当初81億円だった寄付総額は昨年度、3650億円に膨らんだ。半分以上を返礼品の調達費や送料、仲介業者への手数料が占める。地元企業に還元されてはいるものの、本来は寄付者が暮らす地域の保育や教育、福祉に充てる住民税だ。いびつと言うほかない。

 総務相は「制度は存続の危機にある」と神妙に法規制の理由を説明した。一義的な責任は政府にある。都市と地方の税収格差の是正を目指すなら、地方交付税制度の改定や税源移譲で調整するのが筋だ。寄付控除の対象にふさわしくない住民税で帳尻を合わせることに無理がある。

 自治体にも猛省を求める。自分さえ潤えばいい、と言わんばかりに常軌を逸し、国の介入を許している。地方税収の公平な分配の仕組みは自治体側で議論し、築くべき課題のはずだ。

 実家で暮らす親の見守りや墓の清掃といった、商品ではないサービスでお返しする自治体がある。生活困窮世帯の子どもたちへの食事提供、絶滅危惧種の保護など、使い道を明確にして寄付を集める市町村も少なくない。

 見返りなしに被災自治体に寄付する人たちも増えている。制度を続けるなら、原点に立ち返って運用しなければならない。

 返礼品を地場産品に限れば、特産の多い少ないで不公平感が残るだろう。調達費の全国平均は現状で38%。3割以下としたところで問題は解消しない。

(9月13日)

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