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沖縄県知事選 論戦を共に見守りたい

 沖縄県知事選が告示され、前宜野湾市長の佐喜真淳氏、自由党前衆院議員の玉城デニー氏らが立候補した。

 事実上の一騎打ちである。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り与野党の支援を受ける候補が激突する。米軍基地の在り方は、県民だけでなく国民全体で考えなければならない問題だ。30日の投開票に向けた論戦を見守りたい。

 翁長雄志知事の死去に伴う選挙である。佐喜真氏は自民、公明両党などが推薦している。玉城氏は共産、社民など県政与党や辺野古反対の市民団体が後押しする。

 佐喜真氏は「対立や分断からは何も生まれない。普天間飛行場や那覇軍港の返還などを全てできるのは、この私しかいない」と強調した。普天間の早期返還と危険性除去、政権とのパイプを生かした経済振興などを訴える。

 玉城氏は県による辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回を支持し、移設阻止を掲げる。「イデオロギーよりもアイデンティティーを大事にしようという翁長氏の遺志を受け継ぎ、辺野古に新しい基地を造らせない」と述べている。

 対立や分断を生んだ大きな要因は政府の姿勢にある。選挙で繰り返し示された反対の民意を顧みずに工事を強行してきた。辺野古が唯一の解決策だとして普天間の固定化か移設容認か―の二者択一を迫る。県民に苦しい選択を強いる酷なやり方だ。

 佐喜真氏は「県民が等しく喜べることをするのが、県知事の役割だ」とする。先日の名護市議選では移設反対派が過半数を維持している。移設の是非をどう考え、政府とどのように向き合っていくのか、詳しく聞きたい。

 玉城氏は、新基地阻止の展望はあるのか。翁長氏は15年に埋め立て承認を取り消したものの、国と法廷闘争になり、県の敗訴が確定した。承認撤回にも国の法的対抗措置が見込まれる。一方では普天間の早期返還が求められる。

 誰が新知事になっても分断を解消するのは容易でない。在日米軍専用施設が集中する沖縄の現状に改めて目を向けさせられる。基地のたらい回しでは、沖縄の負担は軽減されない。政府の方針を問い直す機会でもある。

 政府は承認撤回への対抗措置を知事選後に先送りする方向だ。不利な要素を減らそうという判断だろう。沖縄の人たちが広く納得できる解決策を目指し、米国と真剣に協議するのが政府の本来の姿である。移設ありきで県民の亀裂を深めることは許されない。

(9月14日)

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