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県自転車条例 必要なのか議論重ねて

 県が自転車利用に関する条例案の取りまとめに向け基本的な「考え方」を示した。

 健康増進や環境負荷軽減、観光振興を柱とする一方、阿部守一知事が言及していた損害賠償保険の加入義務化は盛り込まなかった。引き続きの検討課題とする。

 県民の行動を制約したり、新たな負担につながったりする条例は、できればなしで済ませたい。条例によらず、県民運動で進めるやり方もあり得る。

 他県では地道な取り組みで事故を減らしている例もある。情報を県民に提供しながら、安全に走れる道路環境の整備を含め、広い視野から議論を深めたい。

 知事の2年前の県会答弁が条例論議のスタートだった。県内でも高額な賠償を伴う自転車事故が心配されるとして、「観光振興や道路環境の整備なども視野に入れた長野県らしい条例を制定してはどうかと考えている」と述べた。保険の義務化を巡る質問に対しては「県民に負担を掛ける。慎重に検討したい」と答えている。

 県はいま開会中の県会9月定例会で骨子案を示し、本年度中に制定する構えでいる。急ぐ背景には昨年春施行の自転車活用推進法が自治体に対し安全取り組みの強化を求めている事情がある。

 交通事故全体が減少傾向をたどる中で、自転車の事故はなかなか減っていかない。歩行者を死傷させ、高額の賠償を求められるケースもある。対策強化が必要とされているのは事実だ。

 昨年春の県政モニターアンケートでは、保険加入について「条例で定めた方がよい」が7割を占めた。具体的な定め方では、「加入しなければならない」と「加入するよう努めなければならない」が半々だった。

 義務化まで踏み込むか努力義務にとどめるか、意見は割れている。義務化する場合には違反への罰則も課題になってくる。条例が必要かどうかも含め、時間をかけた議論が必要だ。

 県は関係者による連絡会議を2年前に設置。今年夏には岡谷市と白馬村で県民の意見を聞く会を開いている。いずれもメンバーは市町村、観光、保険業界関係者や自転車愛好家が中心だった。条例を作るかどうか県民に問い掛けようと思うなら、もっと広い層の意見を聞くべきだ。

 安全確保は根本的には道路環境の整備なしには難しい。市町村との連携をはじめ本腰を入れた取り組みが必要になる。保険義務化で済ませられる話ではない。

(10月1日)

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