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「人工椎間板」で頸椎の病気治療 信大病院、県内初の手術

 信州大病院(松本市)脳神経外科が、頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアなど首の脊髄を圧迫する病気の手術治療として、人工の椎間板を植え込む「頸椎人工椎間板置換術」を始めた。2017年に国内で薬事承認された新たな治療法で、従来の手術で課題となっていた病気の再発のリスクが抑えられる。8月に県内初の手術を実施し、経過は順調という。現在国内で承認されている人工椎間板は2タイプがあり、信大病院によると、今回使用したタイプの手術は国内3例目。

 頸椎は脊椎(背骨)のうち首の部分に七つある骨。その間でクッションの役割をしている椎間板が飛び出したり、頸椎の一部が変形してとげ状になったりすると、脊髄や脊髄から出ている神経を圧迫し、手足のしびれや痛み、歩行障害といった症状が出る。年齢が高くなるほど発症しやすいとされる。

 厚生労働省の調査によると、胸椎や腰椎なども含めた脊椎障害、椎間板障害は、65歳以上の外来患者だけで、年間10万人に約800人の割合と推計されている。

 従来の治療法の一つが、問題がある箇所の椎間板やとげ状になった骨を取り除き、金属製ボルトなどを入れて固定する方法。関節の役割を果たせなくなるため、隣接する頸椎間に負担がかかって新たな症状が出る恐れがあった。日本脊髄外科学会指導医で、信大医学部の伊東清志講師(脊椎脊髄病学)によると、術後年間数%の患者が別の頸椎間で似た症状が出るとの報告もある。

 信大病院で使用する人工椎間板は、2枚の金属で合成樹脂を挟んだ構造。椎間板があった箇所に植え込むと、椎間板の役割を果たし、他の頸椎間への負担を少なくできるという。欧米では既に一般化しており、日本では関係する学会が指定する病院のみで手術を実施している。

 信大病院は8月に30代の男性患者の手術をした。執刀した伊東講師は「優れた治療法が出てきた。新たな選択肢の一つとして多くの人に知ってもらいたい」としている。

 信大病院脳神経外科は頸椎人工椎間板置換術に関する相談を受け付けている。相談は同院(電話0263・37・2776)へ。

(10月11日)

長野県のニュース(10月11日)