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日豪防衛協力 拡大を当然視できない

 日本の航空自衛隊とオーストラリア空軍による初めての戦闘機訓練を来年の適切な時期に行うことで両国政府が合意した。

 他国との軍事分野での連携、協力が当たり前のように強められている。自衛隊の活動の拡大を「既定路線」と見過ごすことはできない。

 昨年4月以来の開催となる両国の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で合意している。日本からは河野太郎外相、岩屋毅防衛相が出席した。8月にオーストラリアで新政権が発足したのを踏まえ、両国による防衛協力推進の重要性を改めて確認している。

 共同声明には、中国を意識した内容が盛り込まれた。中国が軍事拠点化を進める南シナ海の情勢に深刻な懸念を表明し、東シナ海での「一方的な行動」への反対を記している。戦闘機訓練は日本周辺空域での活動の活発化を念頭に今後、日程を調整する。

 相手国内で共同訓練を円滑に実施するための協定について交渉の早期妥結に努力することも合意した。実現すれば、米国以外では初めてになる。既に物品役務相互提供協定(ACSA)や情報保護協定を結んでいる。「準同盟国」の位置付けが一段と鮮明だ。

 安全保障関連法の制定をはじめ安倍晋三首相は防衛政策の大転換を進めてきた。他国軍との共同訓練や自衛隊の海外での活動は、このところ際立っている。

 海上自衛隊は9月、潜水艦「くろしお」が南シナ海で対潜水艦戦の訓練を行ったと発表した。これまで練習潜水艦の訓練はあったものの、実任務に就く潜水艦で明らかになったのは初めてだ。ベトナムの軍事要衝カムラン湾にも海自潜水艦として初めて寄港した。

 静岡県などでは陸上自衛隊が英陸軍と共同訓練を行っている。昨年、日英の2プラス2で確認した連携強化の一環である。ヘリコプターを活用して敵の位置を偵察する手順を確認したりした。国内で陸自が米国以外の陸軍と訓練するのも過去に例がない。

 戦後日本は「専守防衛」を基本方針としてきた。▽武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する▽行使は自衛のための必要最小限度にとどめる▽装備も必要最小限度とする―というものだ。活動の拡大で自衛隊が変質していかないか、注視する必要がある。

 抑制を欠く防衛政策は周辺に脅威を与え、地域の安定を損ないかねない。他国との連携、協力について臨時国会で政府の見解をただし、議論を深めてもらいたい。

(10月12日)

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