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「脱獄女子」はこの夏東京で上演された創作劇だ。芸能事務所がアイドルグループをほぼ無給で酷使する。メンバーが脱退を申し出ると人格の否定や脅迫めいた言葉を投げ付け辞めさせない。芸能界の一部にあるそんな「闇」を描いた

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主役は都内のアイドルグループの元メンバー2人。所属していた芸能事務所に契約解除を求めて訴訟を起こし和解で認めさせた。訴訟の代理人を務めた河西邦剛弁護士が演劇で体験を伝えようと提案。2人の証言を元に脚本ができ、舞台化にこぎつけた

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愛媛の16歳の少女が辞めたいと訴えると所属先の社長は「1億円を支払え」と求めたという。事実なら常軌を逸している。少女は憧れだったアイドル活動が過重な負担になった。容赦のない要求に追い詰められ命を絶った。「パワハラが原因」と提訴する遺族の心の傷が痛々しい

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地域イベントやライブで活動する「地下アイドル」の世界。活躍を夢見る少女には敷居が下がりチャンスが広がった。一方でパワハラやセクハラがはびこる。親との連絡を遮り服従させる悪徳な芸能事務所もある。河西弁護士は「夢の搾取」と表現する

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共同代表理事を務める「日本エンターテイナーライツ協会」は芸能人の権利を守る活動に取り組む。「脱獄女子」の主役はツイッターでつぶやいた。<絶対地下で終わりたくない。だからといってみんな一人一人を忘れたくない>。夢を追い続けても酷な現実には助けを求める勇気もいる。

(10月12日)

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