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医学部入試 大学は口をつぐむな

 昨年、今年の2年で101人―。東京医科大の不正入試で不合格とされた受験生の数である。定員の4割余にも達する。不正が根深くはびこってきたことを映し出している。

 東京医大は該当者を追加合格の対象とすることを発表した。本人の意向を確かめ、来春の入学を認める。ただし、募集定員は増やせないため人数に上限を設け、成績が上位だった人を優先する。つまり、希望しても再び不合格とされる場合があり得る。

 既に他の医学部へ進学したりして、希望者は該当者全体の2、3割にとどまると大学側はみているようだ。そうだとしても、分かりにくい線引きで救済の枠を限るのは、不利益を被った人たちにとって納得しがたいやり方だろう。

 一方で、追加合格者の人数分、来年は入試の定員が減る。そのしわ寄せを受けるのも受験生である。このような事態を招いた責任の重大さを、大学はあらためて認識しなければならない。

 東京医大は、女子や浪人を重ねた受験生の得点を低くして合格しにくくする不正行為を10年以上前から続けてきた。第三者委員会による調査で、高卒認定試験を経た受験生らも不当な扱いを受けてきたことが分かっている。

 今回、追加合格による救済策を示しはしたものの、金銭による補償については依然、考え方を明らかにしていない。一昨年以前の入試不正についても、第三者委の調査を待つとするばかりで、主体性を欠く面はなお否めない。

 東京医科大のほかにも、医学部入試の不公正な実態が明らかになっている。文部科学省は全国の大学を対象にした緊急調査の中間報告で、女子や浪人生を不利に扱う、同窓生の子ら特定の受験生に加点する、といった事例を複数の大学で確認したと公表した。

 女子の合格率の低さが際立ちながら、その理由を明確にしていない大学が多い。昭和大は入試の不正を認めたものの、男女の合格率の大きな開きについて納得がいく説明はなかった。

 受験生が進路を決める時期だ。推薦入試の出願は既に始まり、一般入試の出願が迫っている。文科省に、不正を確認した大学名の公表を求める声も強い。

 「大学の自治」にも関わる事態である。だんまりを決め込むことは、大学がよって立つ土台を崩しかねない。不正があった大学は自らその詳細を明らかにし、来年の入試に向けた対応策を早急に示さなくてはならない。

(11月9日)

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