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国策紙芝居 映す「総力戦」 北信の有志所蔵

存在が知られていなかった国策紙芝居を記録撮影する神奈川大の研究グループ=24日、長野市存在が知られていなかった国策紙芝居を記録撮影する神奈川大の研究グループ=24日、長野市
 戦時下に戦意高揚などを目的に作られた「国策紙芝居」を調査している神奈川大非文字資料研究センター(横浜市)の研究グループが24日、北信地方の市民有志でつくる信州戦争資料センター(長野市)が所蔵する紙芝居を調べた。これまで存在を把握していなかった8作品と、実物がなかった8作品を確認した。総力戦として国民が戦時体制に組み込まれていった当時の状況を検証する上で重要としている。

 研究グループによると、国策紙芝居は、軍部や政府の意向を受けて国策会社が作った。千作以上あったとみられている。信州戦争資料センターは、オークションなどを通じて1940(昭和15)年以降の紙芝居80作品余を収集。研究グループが24日、長野市内で調査した。

 存在を把握していなかった作品の一つが、44年3月発行の「コタバル」。太平洋戦争開戦時のマレー半島コタバル上陸作戦が題材だ。銃剣を携えて突撃する兵士たちが勇ましく描かれ、「一億国民が斉(ひと)しく戦ひ(戦い)の配置に就く時は今だ!」と国民に戦時国債購入を呼び掛ける。

 ほかに、貯蓄や公債の購入を呼び掛ける「拾円札の喜び」(41年7月発行)や、戦死した兄を持つ妹が資源回収をし、同級生を協力させる「兄さんの手紙」(41年7月)など。

 信州大人文学部(松本市)の大串潤児教授(日本現代史)ら研究グループの5人が紙芝居を撮影。研究に協力する昭和館(東京)の鈴木一史学芸員(34)はコタバルについて、「流行だった画風を意識して描いたようだ。同じ頃の他メディアと絡めて時代に目を向けたい」と話した。

 研究グループ代表で神奈川大特任教授の安田常雄さん(72)=日本近現代思想史=は「これだけまとまって未発見作品が見つかることはめったにない」としていた。23日は須坂市立博物館で、これまで存在を把握していなかった2作品を確認したという。

(11月25日)

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