長野県のニュース

米中首脳会談 対立の根を絶てるのか

 一時しのぎに終わらないか。

 南米アルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせ、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が会談した。

 米国は中国からの輸入品に対する追加関税拡大を一時凍結し、両国が発動済みの制裁関税についても撤廃の方向で協議を進めることで一致したという。

 ただし米国は、中国との協議で90日以内に合意を得られなければ関税拡大に踏み切るとの条件を付けた。短期間で対立の根を絶つことができるだろうか。

 知的財産権の侵害や巨額の貿易赤字を理由に、トランプ政権が制裁関税を発動したのは7月だった。第2弾、第3弾と拡大し、課税対象は中国からの輸入品のほぼ半分の2500億ドル(28兆円)相当に上っている。習政権も、米製品に相応の追加関税を課す対抗措置を講じてきた。

 貿易紛争の影響は両国で顕在化し始めている。米製品の輸出は減り、中でも自動車産業の労働者や買い手を失った大豆農家らが打撃を受けている。

 中国では生産拠点を東南アジアへ移す企業が増加し、株価や人民元の下落、失業の懸念も広がる。習政権は、地方政府と企業の過剰債務削減に向けた構造改革を先送りし、景気対策を優先せざるを得なくなっている。

 追加関税の拡大を控えるのはもとより、発動済みの制裁関税も早急に撤回しなければ、世界経済が後退する事態になりかねない。

 米中協議では、中国政府が海外企業に強要している先端技術の移転、海外メーカーの製品を中国企業が違法に模倣する知的財産権の侵害、関税以外で貿易を制限する非関税障壁、サイバー攻撃などが論点になる見通しだ。

 国際社会が中国に是正を求めてきた問題を含むものの、国家戦略にも関わるだけに中国側が直ちに歩み寄るとは思えない。

 G20首脳会合は米中の橋渡し役を果たせなかった。首脳宣言は何とかまとめたものの、米国の反対で「保護主義と闘う」との文言を盛り込めずに閉幕している。

 首脳宣言の採択断念に追い込まれた11月のアジア太平洋経済協力会議に続き、多国間協調の揺らぎは否めない。

 「大国」の主張に振り回されて国際会合の役割を“文言調整”に矮小(わいしょう)化してはならない。世界経済の課題を乗り越えるには協調体制が欠かせないことを、各国は再認識してほしい。

(12月3日)

最近の社説