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高速炉開発 ごまかしを続けるのか

 失敗に学ばず、ごまかしの対応をずっと続けるというのか。

 廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅの後継機開発を話し合う経済産業省の作業部会がまとめた工程表骨子である。

 今世紀後半の実用化を目指し、民間の技術開発を支援していくという。もんじゅと同じタイプに限らず幅広い技術を取り入れ、2024年以降に採用可能な技術を絞り込むとしている。

 もんじゅは、半世紀にわたって1兆円を超える国費を投じたにもかかわらず、危険性が高くトラブルが続いた。研究達成度が16%のまま政府は16年に廃炉を決めた。廃炉費用は国試算の3750億円を超える可能性も指摘される。

 骨子は、失敗に終わったもんじゅの検証を欠いたまま開発を継続する内容になっている。

 これでは、実現性の乏しい政策に巨費を投入する繰り返しになる可能性が高い。断念し、開発の前提になっている核燃料サイクル政策から撤退すべきだ。

 高速炉は、高速中性子でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を増殖させ、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生むとされる。原発の使用済み核燃料を再処理工場に運んでプルトニウムを取り出し、再び燃料として利用する核燃料サイクル政策の中心に位置付けられる。

 もんじゅの廃炉決定を受け、政府は、フランスが計画する高速実証炉「アストリッド」の共同研究を今後の開発計画の柱としてきた。だが今年、フランスはアストリッドの規模縮小に転換した。

 高速炉研究の先進国であるフランスですら困難に直面している。縮小した高速炉では、十分な研究成果が得られる見通しはない。日本の開発計画に大きな影響があるはずだが、骨子に具体的な言及はない。現実から目を背けたとみられても仕方ない。

 核燃料サイクルの中核施設である青森県六ケ所村の再処理工場は、トラブルなどで完成が20年以上遅れ、これまでに14兆円近い事業費を投入している。

 取り出したプルトニウムを一般原発の燃料に使うプルサーマル発電も進めているが、原発の再稼働が進まず停滞。日本が国内外に保有する計47トンのプルトニウムは消費のめどが立っていない。核兵器の原料になるため、国際社会の懸念を招く状況になっている。

 核燃料サイクルは既に破綻している。政府は現実を直視し、積み重なった問題の一つ一つと向き合っていくほかはない。

(12月6日)

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