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「信州沖縄塾」活動一区切り 塾長の伊波さん帰郷 メンバー高齢化で

信州沖縄塾の閉塾について話す伊波さん信州沖縄塾の閉塾について話す伊波さん
 沖縄県の米軍基地問題などについて情報発信などを続けてきた上田市の市民団体「信州沖縄塾」が来年、「閉塾」する見通しとなった。2004年の発足当初から塾長を務めた、ハンセン病回復者で作家の伊波敏男さん(75)=上田市=が来年、古里の沖縄に移住することになり、塾の今後を検討。中心メンバーの高齢化なども考慮し、決断した。

 米軍普天間飛行場移設問題などを巡り、国と沖縄県の対立は深まるばかり。伊波さんらメンバーは断腸の思いを語る一方、それぞれの立場で今後も基地問題について発信を続けるとしている。

 同塾は04年夏、伊波さんらの呼び掛けで発足。基地問題で揺れる沖縄の現状を伝え、市民レベルで平和について考える機運を高める目的だった。沖縄から大学教授やジャーナリストらを招いた講演会などを企画。16年には鳩山由紀夫元首相らを招いたシンポジウムを開いた。

 昨年は、基地問題などに関心を寄せる長野県内の市民団体と情報共有する「信州沖縄ネットワーク」の立ち上げに携わるなど、県内の平和運動をリードしてきた。

 伊波さんは2000年に妻の古里の上田市に移住。同塾の活動の一方、県内各地で、中学生らを対象にハンセン病や人権をテーマにした講演活動も続けてきた。上田市に永住するつもりだったが、妻の体調不良をきっかけに16年ごろから、暖かい沖縄への移住を検討してきたという。

 伊波さんが不在となり、中心メンバーの高齢化が進む中、活動継続は困難と判断。110人の塾生を対象にアンケートを取った上で、共同代表運営委員会が今月3日に閉塾方針を決定した。来年1月8日の総会で活動期限を決める。

 伊波さんは取材に、「塾生一人一人が(基地問題などについて)自分たちの問題として考えられるようになった」と振り返る一方、「若者に沖縄の情報を伝えきれなかった」と悔しさもにじませた。その上で「閉塾はマイナスではなく、一つの節目」とし、帰郷後も沖縄と信州の橋渡し役として活動していく考えを示した。

 塾内には「こんな時期に閉塾なのかと言われるかもしれない」との声もあるが、共同代表の竹内茂人さん(76)は「これで全ての活動が終わりというわけではない」と強調。塾生らは今後も、それぞれに沖縄に目を向け、情報発信を続けるという。今夏実施した親子向けの沖縄旅行も、継続に向けて方策を考える。

 信州沖縄ネットワークは今後も活動を継続する。加盟する中信地方が拠点の「平和の種をまく会」の小林瞳さん(松本市)は、同塾が企画する講演会は貴重な学びの場だったと評価。「塾生には、人脈を生かして両県を結ぶ役割を果たしていってほしい」と期待した。

(12月6日)

長野県のニュース(12月6日)