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教員の働き方 根本的に是正しなければ

 長時間労働が常態化し、教員が疲弊している現状をどう改めていくか。中教審が指針案を示した。一歩前進ではあるものの、踏み込みが足りず、根本的な是正につながるとは考えにくい。

 残業時間の上限を原則、月45時間とすることが柱だ。ただ、枠をはめて現場にやりくりを求めるだけでは無理がある。残業が表向き減る陰で、家に持ち帰る仕事が増えることにもなりかねない。

 部活動に外部指導員を充てる、成績処理などに支援システムを活用する…。中教審は具体策を挙げて、縮減できる年間勤務時間の目安もそれぞれ示したが、机上の計算の域を出ない。

 一方で、夏休み期間などに休みを取り、年間の勤務時間を調整する「変形労働時間制」の導入を提言した。振り替えで休む分、学期中は長時間働くことになる。月ごとの残業の上限が守れないことを前提にする仕組みである。

 現場には、夏休みも研修や部活動があり、まとまった休みは取りにくいという声がある。過重労働の是正につながるのか疑問だ。

 過労死の労災認定の目安となる月80時間を超えて残業をしている教員は、小学校で3割余、中学校では6割近くに上る。「ブラック職場」と言われるようになった状況の改善は急務だ。

 教員は、基本給の4%が一律に上乗せされる代わりに時間外手当が出ない給与制度になっている。上乗せ額は、制度ができた当時の残業が平均で月8時間ほどだったことによる。半世紀を経て実態と懸け離れているのは明らかだ。

 けれども、中教審は今回、給与制度の見直しには踏み込まなかった。実態に即して時間外手当を支給すると、国と自治体の負担総額は年1兆円に上るという。これほどの「ただ働き」の上に学校教育が成り立っている現実に目を向けなければならない。

 2020年度から小学校で英語が教科になり、授業時間はさらに増える。新たな学習指導要領の下で、思考力や表現力を引き出す授業の工夫も一層求められる。

 一方では、いじめが深刻化し、虐待や家庭の困窮といった事情を抱える子どもも多い。丁寧に向き合うには時間と気持ちの余裕が要る。教員が疲れ果てていては、教育の充実はおぼつかない。

 十分な教員数を確保するとともに、教員が担う仕事の範囲を見直し、補う人を手当てすることが欠かせない。お仕着せの指針だけに頼れない。現場、地域から声を上げ、国や自治体を動かしたい。

(12月7日)

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