長野県のニュース

斜面

欧州の水道民営化の実相に迫ったドキュメンタリー映画がある。ギリシャ作品「最後の一滴まで―ヨーロッパの隠された水戦争」。NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)が日本語に翻訳し字幕付きのDVDの販売を始めた

   ◆

欧州では水メジャーのヴェオリア社(フランス)などに委託してきた水道事業を再公営化する動きが広がっている。料金高騰や不透明な財政が理由だ。逆に欧州連合(EU)から民営化を強く迫られている国もある。財政難のギリシャやアイルランドだ

   ◆

水メジャー企業の幹部を伴って訪問したマクロン大統領に反発するギリシャ市民、激しいデモを繰り返すアイルランドの市民…。水問題の取材を続けるジャーナリスト橋本淳司さんはこう指摘する。かつて低いところに流れた水は今、カネのあるところに向かって流れている、と

   ◆

運営権を民間に委託する「コンセッション方式」を導入する改正水道法が問題点や懸念をたなざらしのまま成立した。公平性が疑われる事実も明らかになった。内閣府がヴェオリア社から出向の形で女性を政策調査員として採用し、業務に就かせていた

   ◆

誰のための改正か。野党が問題視したのは当然だ。再公営化で事業を担っている「パリの水公社」は市民組織が運営をチェックする仕組みにしたそうだ。水は誰のものか、原点に戻って新たなモデルを模索している。民営化で難問が全て解けるかの幻想に惑わされず欧州の教訓を学びたい。

(12月7日)

最近の斜面