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旧軍用墓地、国が修繕へ 松本など全国44カ所

美須々公園にある旧松本陸軍墓地の納骨堂(奥)と石灯籠=松本市岡田松岡美須々公園にある旧松本陸軍墓地の納骨堂(奥)と石灯籠=松本市岡田松岡
 松本市岡田松岡の美須々公園内にある旧松本陸軍墓地など、旧日本軍が軍人らを埋葬するために全国に設けた現在国有の旧軍用墓地44カ所について、国が本格的な修繕に乗り出す方針であることが19日、分かった。各地で老朽化や損壊が目立っている上、管理体制が曖昧になっており、国は管理の在り方も明確化する考え。早ければ2019年度政府予算案に関連経費を計上する。

 所管する財務省は既に10月ごろ、各地で劣化具合などの点検に着手。財務省は「点検結果を踏まえて対応を決める」としており、5年間で5億円ほどの修繕費を投入するとみられる。国はこれまで、個々の墓地について修繕などをしたことはあったが、まとめて取り組むことはなかったという。19年度は旧松本陸軍墓地のほか、台風による損壊で地元要請が強い旧真田山陸軍墓地(大阪市)などで始める見通しだ。

 旧松本陸軍墓地には、木造モルタルの納骨堂や、「昭和十一年九月歩兵第五十連隊建之(建立)」などと刻まれた10基余の石灯籠などが残る。安曇野市豊科郷土博物館の原明芳館長によると、旧陸軍歩兵第50連隊で訓練中に亡くなった人を弔おうと、1907(明治40)年、松本市蟻ケ崎に建立。終戦近くに現在の場所に移り、納骨堂が建てられたという。

 旧軍用墓地は全国に80カ所以上あるとみられ、国は旧松本陸軍墓地を含めて国有の大半を自治体に無償で貸し付けている。旧軍用墓地に詳しい仏教大の原田敬一教授(日本近代史)によると、自治体への貸し付けや移譲は戦後間もない時期から行われた。ただ、管理主体が曖昧で、遺族会などが日常的に担っている例も少なくないという。

 旧松本陸軍墓地は76年から松本市に無償で貸し付けられ、市は管理を県護国神社(松本市)に委託。市は同神社側に年15万円程度を支払っている。

 国は、国が納骨堂などの補修を、自治体が清掃などの日常管理を担うという役割分担の明確化を想定している。

(12月20日)

長野県のニュース(12月20日)