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小布施・岩松院の天井絵、回すと卍に? 修復担う山内客員教授が見解

岩松院の天井絵「八方睨み鳳凰図」で、右上と左下の風切羽、首の輪郭線、絵の中心を結んだ赤い線(画像を加工しています)岩松院の天井絵「八方睨み鳳凰図」で、右上と左下の風切羽、首の輪郭線、絵の中心を結んだ赤い線(画像を加工しています)
 江戸時代の浮世絵師葛飾北斎(1760〜1849年)が手掛けたとされる岩松院(小布施町)本堂の天井絵「八方睨(にら)み鳳凰(ほうおう)図」について、桃山学院大の山内章客員教授(60)=奈良市=が、仏教などで吉祥とされる「卍(まんじ)」が構図に織り込まれている―との説をまとめた。金箔(きんぱく)をちりばめた背景は天界を表すとし「天上から人々に幸をもたらす鳳凰が舞い降りる情景を描きたかったのではないか」とみる。

 山内さんは長年天井絵の修復を担ってきた。天井絵は横約6・3メートル、縦約5・5メートル。極彩色で描かれている。地元の豪農商高井鴻山(こうざん)(1806〜83年)の依頼で、鴻山の菩提(ぼだい)寺だった岩松院に最晩年の北斎らが手掛けたとされる。これまで下絵が2枚見つかっている。天井絵には北斎の落款などはなく、作者や制作年などを示す史料も見つかっていないため、謎は多い。

 鳳凰は、中央の胴体から右上と左下に向かって直線状の「風切羽(かざきりばね)」が対称的に描かれている。山内さんによると、絵の中心から風切羽の先端までの長さはほぼ等しく、これらを結ぶと「鍵の手」状になる。風切羽には、旋回する鳳凰を表現する役割があるとし、絵の中心を軸に鍵の手の回転をイメージすると「卍」を見いだせる―との解釈だ=図。

 山内さんは制作工程や技法などの観点から天井絵を検証し、2017年には制作過程を実証する公開研究会も町内で開催。岩松院の依頼でこれらをまとめる中で「卍」に気が付いたといい「北斎の制作意図が見えてくる」と話す。

 岩松院は今後、山内さんの調査結果や見解を冊子にして販売する予定。渡辺章宏住職(65)は「天井絵がどのように制作されたのか、さまざまな人が思いを巡らすきっかけになればいい」と話した。

(1月5日)

長野県のニュース(1月5日)