長野県のニュース

新元号の公表 国民への配慮は十分か

 安倍晋三首相が年頭の記者会見で、新天皇即位に伴う新元号を4月1日に閣議決定し、公表すると明らかにした。改元政令も同じ日に公布する。

 即位の1カ月前である。改元に伴う官民の情報システム改修に、1カ月の準備期間が必要とする最終調査結果を踏まえた。

 退位特例法に関する国会の付帯決議には「改元に伴って国民生活に支障が生ずることがないようにする」とされていた。政府決定は決議に沿ったという。皇位継承前の新元号公表は初めてだ。

 重視すべきは国民の生活だ。混乱は最小限にする必要がある。情報システムだけでなく、印刷物などの準備にも時間が必要だろう。官庁だけでなく、金融機関などの民間企業は万全を期して、入念に準備してほしい。

 公表時期が早ければ早いほど混乱は少ない。1カ月前の公表で十分なのか、疑問も残る。

 今回の改元は天皇の逝去ではなく、あらかじめ期日が定まった退位に基づく。もっと早い時期に公表することも可能なはずだ。政府は当初、天皇陛下在位30年記念式典を開く2月24日以降とする方向で検討していた。

 新元号の発表時期を巡っては、自民党保守派などと政府の対立が続いてきた。

 保守派は元号は天皇と「一体不可分」と主張。今の天皇陛下が在位中に次の元号が公になると、天皇一代に一元号という「一世一元制」に矛盾するという考えだ。そのため、新天皇の即位後に新元号を閣議で決定し、新天皇が公布するよう訴えていた。

 4月1日の公表に決まったのは、安倍政権の支持基盤である保守派と政府の綱引きの結果だ。

 昨年12月には、超党派の国会議員や財界などが4月10日に「感謝の集い」を開いた後に発表する方向にもなっていた。国民生活への配慮が十分だとは言い難い。

 かつて元号は天皇が決め、天皇が支配するシンボルとして定められていた。いまは1979年制定の元号法が法的根拠で、政令で定めることが決められている。ただし、元号が必要な理由や目的などは規定されていない。

 日本国憲法では天皇は国の象徴であって主権は国民にある。

 本来は元号の必要性についても議論し、発表時期についても国民の立場から決めていくべきではなかったか。最優先するべきものを見誤れば国民の支持は失われ、元号を継続する必要性への疑問も高まるだろう。

(1月5日)

最近の社説