長野県のニュース

出国税 使われ方を注視せねば

 観光振興の財源となる新税、国際観光旅客税(出国税)の徴収が始まった。

 日本からの出国者に1人千円を課す。有効活用されるか、無駄遣いにつながらないか、目を光らせていく必要がある。

 恒久的な国税が新設されるのは1992年の地価税以来、27年ぶりである。2歳未満の子どもや乗り継ぎ客などを除き、国籍を問わず課される。飛行機や船の運賃に上乗せして納める。

 政府は2020年に訪日外国人客を4千万人に増やす目標を掲げる。東京五輪・パラリンピックまでに多くの観光振興財源を確保しようと法整備を急いできた。徴収は混乱を避けるため、年始休暇後の7日に始めた。

 使い道として3分野を定めている。▽快適な旅行環境の整備▽日本の魅力発信▽旅行者の満足度向上―である。

 19年度は、500億円の税収を見込む。文化財を生かした地方観光の魅力向上(100億円)、顔認証などによる出入国審査の迅速化(71億円)といった施策を進める方針だ。

 21年度までの3年間で全国約100カ所の観光地を公募で順次選定し、支援していく。訪日客が不便なく楽しめるよう観光施設への多言語翻訳機の配備や公衆無線LAN整備などを補助する。

 導入の経過を見ると、観光振興を名目にして取りやすいところから取った税金という側面が拭えない。3分野は抽象的で解釈次第の面がある。税収に合わせて使い道を探すことにもなりかねない。

 国会では野党から「政権の都合でいくらでも使途が広がる恐れがある」との指摘が相次いだ。観光関連との名目さえ整えれば、何にでも使える―。そんな政府の便利な財布にしてはならない。

 18年の出国者数は外国人が3100万人程度、日本人が1900万人程度とみられる。

 納税者の一定割合を日本人が占めることになる。広く納得を得られる使い方ができるか、政府の姿勢が問われる。

 無駄遣いについて政府は、外部有識者を交えた事業点検などを通じて防ぐとしている。政府内でのチェックだけでは足りない。国民が妥当性を判断できるよう、点検の経緯や結果などを分かりやすく示す必要がある。

 予算案を審議する国会の責任は重い。盛られた施策の効果を一つ一つ見極めるのはもちろん、新税の必要性を絶えず検証していくことも欠かせない。

(1月11日)

最近の社説