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勤労統計問題 国会で真相を解明せよ

 厚生労働省の「毎月勤労統計」の不適切調査問題の影響が明らかになってきた。

 平均給与が実態よりも低く算出されていたため、これを基にする雇用保険の失業給付や労災保険などの給付額が少なくなっていた。対象者は延べ1973万人に上る。総額は537億円余である。深刻な事態だ。

 政府はさかのぼって追加給付するため、昨年末に閣議決定した2019年度予算案を修正する。根本匠厚労相は記者会見で「極めて遺憾」として陳謝している。

 勤労統計は政府の経済指標などにも幅広く使われる「基幹統計」である。統計の信頼性を揺るがし、過少給付まで招いた厚労省の責任は重い。

 政府は早急に事実経過を調査して、原因と責任を明らかにする必要がある。給付が過少だった対象者には、早急に不足分を支払わなければならない。

 不明な点はまだ残されている。

 勤労統計は従業員500人以上の事業所は全て調べるルールだ。それなのに東京都内の事業所は対象の1400事業所のうち、3分の1程度しか調べていなかった。

 ずさんな調査は04年から続いていた。担当者は不適切と認識しながら組織内で情報を共有せず放置していた。担当者間で引き継がれてきた可能性がある。調査を正しく装うため、データの改変ソフトも作成している。

 根本厚労相は会見で組織的な隠蔽(いんぺい)は否定しているものの、担当者だけで15年も続けられるのか。詳しく調査しなければならない。

 ほかにもやるべきことは多い。

 まず、勤労統計を利用しているほかの統計にどの程度の影響を与えたのかを調査し、正しいデータを迅速に示すことだ。

 ほかの基幹統計の点検も必要だ。政府機関が作成するうち、総務相が指定する特に重要な統計だ。人口動態統計など計56ある。今回の不適切処理はこれらの信頼性を低下させかねない。

 菅義偉官房長官は政府の基幹統計全体を点検するように指示している。担当する省庁は早急に実施して、結果を明らかにしなければならない。

 安倍政権内には、春の統一地方選や夏の参院選への影響を最小限に抑えるため、早期収拾を図る思惑もあるという。問題の解明がおろそかになってはならない。

 衆院厚生労働委員会の閉会中審査も検討されている。国会の論戦を通し、真相を徹底的に解明することを求める。

(1月12日)

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