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「貸切バス適正化センター」県内巡回 実施は6割

 北佐久郡軽井沢町で2016年1月に起きたスキーバス転落事故を機に、全国10カ所に設けられた「貸切バス適正化センター」による巡回指導で、県内の貸し切りバス業者の営業所への実施率が本年度末時点で約6割にとどまることが12日分かった。国土交通省は21年度までに、センターが管内の業者の全営業所を年1回巡回指導できる態勢整備を目標にしているが、事故発生から3年となる今も指導が追いついていない実態が浮かんだ。

 同省の推計では、全国でも本年度末で業者への巡回指導が一巡するのは、沖縄の1カ所にとどまる見込み。軽井沢事故の遺族は早期の巡回態勢充実を求めているが、指導員の人材確保や育成、財源といった課題があり、道半ばだ。

 長野を含む新潟、石川、富山の4県を管轄する「北陸信越貸切バス適正化センター」(新潟市)によると、長野県内の業者の営業所は343カ所(昨年10月時点)。このうち本年度末までに巡回指導が行われるのは約200カ所。これ以外の営業所は19年度以降になる見込みだ。

 全国で営業所は5524カ所(同2月時点)。これまでの各センターの巡回指導のペースから同省が推計したところ、18年度中に管内の全営業所の巡回指導が一巡するのは沖縄だけだった。関東、中国、近畿、四国は19年度中の見込み。北海道、東北、中部、北陸信越、九州は20年度中の見通しだ。ただ、各センターとも取材に19年度中の一巡を目指すとしている。

 まだ一巡していない理由について、中部のセンターの担当者は「2人一組の指導員が年間に巡回できる業者数など様子を見ながら、少しずつ指導員数を増やしている」と説明。他の複数のセンターも同様の理由を挙げる。

 全国のセンター10カ所の指導員数は昨年11月時点で計61人。同省は21年度までに指導員数を全国で95人に増やし、2人一組で年間110カ所を回れる態勢を整えれば、嘱託の指導員らを含め全営業所を年1回巡回できると見込む。

 ただ、北陸信越貸切バス適正化センターの神田斉首席指導員は「指導員をうまく確保できるか不透明」と話す。指導員の人件費を負担するのは業者側のため、「理解を得るのも簡単ではない」とする。

 同センターは19年度、財政面を安定させるため協会加盟業者の巡回指導を担ってきた4県バス協会と業務をセンターに一元化するが、こうした課題は変わらない。

 交通政策論が専門の安部誠治・関西大教授は「十分な指導員を確保するのにバス業者の負担が重くなるようであれば、国の財政支援を考える必要がある」と指摘している。

(1月13日)

長野県のニュース(1月13日)