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皇位継承儀式 議論避ける政府の怠慢

 踏み込んだ議論もなく前例踏襲を決めるのは、怠慢と言われても仕方ない。

 皇位継承に伴う儀式の詳細を決める政府の式典委員会である。新天皇が三種の神器の一部などを引き継ぐ「剣璽(けんじ)等承継の儀」に参列する皇族を、成年男子に限定することを決めた。

 皇族の参加者は、前回の6人から、秋篠宮さまと常陸宮さまの2人に減る。

 皇位継承は男系男子に限るとした皇室典範の規定や、未成年皇族は儀式全般に出席しないとの慣例を踏まえて決めたという。

 前回の平成への代替わりから約30年が経過している。時代の変化に即して皇室のあり方も変わっている。ましてや「承継の儀」は国事行為である。女性皇族の参加を認めないことが、国民の理解を得られるのか疑問である。

 参加者を含めて、どのような儀式にするのかは、幅広い視野で国民的な議論をすることが欠かせないはずだ。有識者のヒアリングでは、女性皇族の参加を求める意見が相次いでいた。それを顧みることなく、参加者を男性に限定した政府の見識が問われる。

 政府は皇位継承権のない女性皇族の参列を認めると、女性・女系天皇や、女性宮家創設の議論が再燃すると懸念しているとされる。

 安倍晋三首相は、これらに否定的な態度をとり続けている。支持基盤である保守層への配慮もあるだろう。考えなければならないのは、もはや議論を先送りできる状況にはないことだ。

 皇室典範は女性皇族は結婚すると皇室を離れると規定している。秋篠宮家の長女眞子さまが結婚すれば皇室は17人になる。今後、結婚によって皇室がさらに先細る可能性が大きい。

 過去には、小泉純一郎政権が女系・女性天皇を容認する皇室典範改正に乗り出そうとした。秋篠宮家の長男悠仁さまが2006年に誕生して、最終的に見送られている。女性宮家の創設を検討した民主党の野田佳彦政権も、議論の途中で政権交代した。

 国会は今回、退位特例法に関する付帯決議で「女性宮家の創設等」を速やかに検討することを政府に求めている。皇位継承で国民の関心は高まっている。女性皇族や国事行為のあり方などを、国民的に議論する好機だったはずだ。

 時代に即した将来像は、国民が議論しなければ描けない。政府は天皇制が国民とともにあることを認識して、開かれた論議をしていく必要がある。

(1月19日)

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