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統計不正問題 厚労省任せでは済まない

 謝罪の言葉は口にするものの、政府全体の問題として深刻に受け止める様子は伝わってこない。

 毎月勤労統計の不正について安倍晋三首相は国会の代表質問で、根本匠厚生労働相に「検証や再発防止の先頭に立ってもらいたい」と述べ、自らは一歩引く構えを見せた。厚労省任せで信頼を取り戻すことはできない。

 2004年から東京都で対象の事業所のうち3分の1ほどしか調査していなかった。首相は「不適切な調査でセーフティーネットへの信頼を損なう事態を招き、おわび申し上げる」とした上で「再発防止に全力を尽くすことで政治の責任を果たす」と強調した。

 問題は収束に向かうどころか広がるばかりだ。

 厚労省の特別監察委員会による調査は、職員や元職員37人のうち7割に当たる25人からの聴取を身内の省職員だけで行っていた。課長級以上20人は外部委員が実施したとの省幹部の国会答弁を訂正している。監察委による聴取の一部に幹部が同席してもいた。

 報告書案を職員が作成するなどもともと「お手盛り」と批判されていた調査だ。「第三者性は担保されている」とする根本氏の主張は説得力を持たない。厚労省は監察委の調査を全面的にやり直すという。中立性を欠いた再調査では信用されない。

 別の基幹統計でも不正が発覚している。学歴や経験年数といった属性別に見た賃金水準を把握する賃金構造基本統計だ。本来は調査員が調査票を配布、回収することになっているのに郵送で行っていた。いつ始まったのかなど詳しいことは分かっていない。

 この不正を巡り、18年に開かれた有識者検討会の会合で担当部局が虚偽の説明をしていた疑いも浮かんでいる。規定通りに行っているとの資料を提出し、将来的に民間委託による郵送調査の導入を検討したいとしていた。組織的に隠してきたのではないか。

 根本氏の罷免を迫る野党に対して首相は「事実を把握した後、必要な指示を行い、全力で対応に当たった」と擁護している。不正の報告を受けながら翌日に勤労統計の確報値を発表し、19年度予算案も閣議決定された。首相の言葉にうなずくことはできない。

 各種経済指標への影響は調査中とする。国際的な信用にも関わる重大な問題だ。政府を挙げて動機や経緯をはっきりさせなくてはならない。特別委員会を設けるなど解明を進める国会の責任は重い。

(2月1日)

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