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きょう3日は節分だ。<豆撒きの鬼になるため父帰る>仲寒蝉(なかかんせん)。本紙「けさの一句」で以前、土肥あき子さんが取り上げていた。日暮れにはやさしい目をした鬼があちこちの屋根の下で豆に打たれていることだろう、と

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豆まきは邪気を払い、福を呼び込む行事である。地方ごとにいろいろなやり方がある。木曽や安曇では豆をまく後ろから、子ども、大人がすりこ木、しゃもじを振りかざして「ごもっとも、ごもっとも」とはやす。台所用具を使うのは、福は勝手口から入るとされているからのようだ

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下伊那では「かに かや」と書いた紙を玄関に張る。カニで鬼の首をはさみ、かやの煙で虫を寄せ付けないとの意味だという。イワシの頭をヒイラギに刺し戸口に飾る風習は全国各地にある。とがった葉と臭いで鬼を撃退するということなのだろう

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今では鬼は豆にやっつけられてばかりいる。昔はそうではなかったようだ。斉藤武雄さんの本「信州の年中行事」に教えられた。鬼は春の訪れを祝うために里へ下りてくる。豆は鬼神へのお供えだったというのだ。鬼は愛すべき存在だった。そう思って見ると姿はどこかユーモラスだ

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節分は文字どおり、季節を分けること。春夏秋冬、年4回の季節の変わり目を節分と呼ぶこともある。あす4日は立春だ。名のみの春、ではあるけれど自然の足取りには間違いがない。陽光は日ごとに力強さを増している。よく見ると木々の芽も膨らんできた。冬が終わる。

(2月3日)

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