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豚コレラ対策 後手に回っていないか

 隣県の岐阜で発生した豚(とん)コレラの終息が見えない。感染が確認された飼育施設は8カ所に増え、1万頭以上が殺処分されている。

 野生のイノシシを介して広がったとみられる。繁殖期の冬、イノシシの行動範囲は半径数十キロに及ぶという。県境を接する愛知では既に野生のイノシシの感染が確認されている。

 長野県内にいつ入ってきてもおかしくない状況だ。畜産業に甚大な損害をもたらす恐れがある。強い危機感を持って対策に当たらなくてはならない。

 ウイルスによる伝染病で、致死率が高い。人がかかるコレラと関係はなく、感染した豚の肉を食べても人体には影響しない。

 汚染された豚肉を使った食品を旅行者などが海外から持ち込み、残飯を野生のイノシシが食べて感染した可能性が指摘されている。加熱が不十分だとウイルスは死なず、ソーセージやギョーザにも含まれている場合がある。

 昨年9月、国内では26年ぶりに岐阜市の養豚場で発生した。感染したイノシシが接触した可能性のほか、ネズミや野鳥がウイルスを持ち込んだことが考えられる。

 対応の不備が被害を拡大させた面は否めない。当初、熱射病と判断して検査が遅れたことに加え、施設が衛生管理をおろそかにしていた。8千頭余を殺処分した養豚場は、専用の服や靴を着用せず、用具の消毒も不十分だった。

 長野県は先月末までに、6頭以上を飼育している農場を立ち入り調査した。衛生管理に不備があれば、ただちに改めなくてはならない。指導を徹底してほしい。

 豚コレラはワクチンで感染拡大を防げるため、岐阜からは使用を求める声が出ている。ただ、政府は豚肉や加工品の輸出全般に影響が及ぶとして否定的な姿勢を変えていない。手遅れにならないよう、検討を急ぐべきだ。

 さらに心配なことがある。別のウイルスによって起きる「アフリカ豚コレラ」の上陸だ。昨年8月、アジアで初めて中国で感染が確認された。爆発的に拡大し、既に90万頭を超す豚やイノシシが殺処分されたという。

 ワクチンはなく、致死率は100%に近い。いったん入り込めば感染拡大を防ぐのは難しい。

 昨秋以降、日本の空港の検疫で、中国の旅行客が持っていた食品からウイルスが検出される事例が相次いでいる。きのうから中国の春節(旧正月)の休暇が始まり、旅行客が増える。水際の防疫に万全を期さなくてはならない。

(2月5日)

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