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審議委員に寄付 中立性が揺らぎかねない

 総務省の審議会の委員8人が、大手携帯電話会社側から研究寄付金を受け取っていたことが分かった。

 携帯の料金値下げを議論した審議会だ。いずれも大学教員で、審議の結果が直接影響を及ぼす側から金銭支援を受けていたことになる。

 明確な違法性はないが、中立性が揺らぎかねない。委員の立場が企業や業界に偏っているとすれば、公正な審議は期待できない。

 総務省は把握しておらず、今後調査を行う予定もないという。

 容認できない。ただちに全委員を調査するとともに、業界との金銭関係を把握したり制限したりするルールを設けるべきだ。

 寄付金の総額は、就任前に受けた分を含め、2010年から18年までに計4330万円に上る。

 下部組織を含む審議会の委員は28人。このうち国立大学の研究者10人について共同通信が大学に情報公開請求して判明した。

 私立大学や民間企業に所属する委員もいるが、情報公開の対象になっていない。8人以外にも業界側から金銭支援を受けている委員がいる可能性がある。

 受け取っていた委員は審議への影響を否定している。結果的に問題なかったとしても、公正に議論されているという信頼が必要だ。研究者のモラルが問われる。

 これ以外に、経済産業省の審議会でも、委員3人が計3900万円の寄付金を受け取っていたことが判明している。都市ガスの規制緩和を議論する審議会で、日本ガス協会が寄付していた。

 国は大学向けの補助金を削減しており、多くの研究者が資金不足に悩む。業界からの寄付について透明性を高める必要がある。

 委員と業界の金銭関係を制限している国の組織もある。

 原子力規制委員会は、委員就任時に原子力事業者からの寄付を公表し、在任中は受けられないと定めている。新薬について話し合う厚生労働省の審議会は、直近3年以内に受け取った寄付金額によっては審議や議決に参加できないとの決まりを設けている。

 内閣府によると、法律や国の制度に関して専門家らが議論する審議会は17年8月時点で各省庁に計129ある。そこに、部会や分科会などの下部組織が連なる。

 著名な学者は複数の審議会の委員を兼ね、役所側には、発言力のある専門家に頼る構図がある。

 政策立案過程の客観性を保てるのだろうか。この機会に、全ての審議会について委員と業界の関係を検証すべきだ。

(2月5日)

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