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マイナンバー 大丈夫か戸籍との連携

 法制審議会の部会が戸籍情報をマイナンバー制度と連携させる案をまとめた。

 年金や児童扶養手当の請求に活用する。マイナンバーを窓口で示すことで、戸籍謄本、抄本の添付が不要になるという。

 各種の世論調査を見ると、国民の多くはマイナンバー制度への不安をぬぐえていない。個人番号カードの普及も進まない。

 いまの状態では連携に国民の理解は得られないだろう。慎重な対応を政府に求める。

 戸籍の正本は市町村にある。法務省は災害などに備えて副本を管理している。連携には副本を使う。副本とマイナンバーを結び付けるシステムを構築し、戸籍情報を引き出せるようにする。

 例えば児童扶養手当を請求する場合、いまは市町村の窓口で親子の戸籍証明書を取得した上で手続きをする必要がある。新システムが動きだせば、マイナンバーが戸籍とリンクするため、証明書は要らなくなるという。

 戸籍情報を扱う職員には守秘義務を課す。情報漏れや不正利用には罰則を設ける。

 問題が多い。第一に漏えいを防げる保証がないことだ。

 政府の個人情報保護委員会の年次報告によると、2017年度1年間に委員会に報告されたマイナンバー絡みの情報漏れは374件にのぼる。戸籍には出生地、続柄など機微な情報が記載されている。罰則を設けるから大丈夫、といわれても安心できない。

 第二に国民の理解も足りない。昨年12月時点の個人番号カードの普及率は全国で12・2%、長野県内は9・9%だった。今年3月末までに国民の3人に2人に持ってもらう、としてきた政府目標の達成は不可能だ。内閣府の最近の世論調査では約4割が、マイナンバー制度に「特に期待することはない」と答えている。

 費用対効果にも疑問が残る。暮らしの中で戸籍証明書がいちばん必要とされるのは相続のときだろう。古い戸籍は電子化されていない。マイナンバーを使っても手続きは簡便化できない。

 戸籍との連携について日本弁護士連合会は昨年、(1)戸籍制度の効率化に連携は不要(2)プライバシー侵害の危険が高まる(3)費用対効果の点からも疑問―の三つの理由を挙げて「反対」と表明している。説得力がある。

 政府は戸籍法改正案の今国会への提出を目指している。問題を積み残したままの見切り発車は避けるべきだ。

(2月6日)

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