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温暖化と海 対策のペースを上げて

 今世紀末に海面の平均水位が最大1・3メートル上昇する―。

 地球温暖化に伴う深刻な予測が、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書原案に示された。20世紀末ごろとの比較で、従来の予測を大幅に上回っている。

 パリ協定の開始を来年に控え、各国が温暖化への危機感を高めるものの、温室効果ガスの排出削減に結び付いていない。

 このままでは海陸の生態系の激変や異常気象に見舞われ、途上国を中心に多くの人々の命が脅かされる。対策のペースを引き上げなければならない。

 原案は、南極やグリーンランドで氷の減少が続き、一部では食い止められない段階に達したと指摘している。山岳地帯の氷河も縮小しているという。

 増加する二酸化炭素が海水の酸性化を招き、酸素濃度が低下する海域も広がった。海面温度が5、6度も急上昇する「海の熱波」も頻発していて、海洋動物の量は21世紀末までに17・2%減る恐れがあるとした。高潮や暴風雨の増加にも警鐘を鳴らしている。

 昨夏、北半球全域を熱波や干ばつ、洪水が襲った。この冬も各地で猛烈な寒さや豪雪が観測されている。夏季の南半球では異常な高温、豪雨が相次いでいる。

 国際社会は足踏みを続ける。

 2013〜16年は横ばいだった化石燃料起源の二酸化炭素排出量は、17年には前年比で1・5%の増加に転じた。

 パリ協定は、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑える目標を掲げる。現状のままだと、40年前後に1・5度を超えてしまう。

 各国が温室効果ガス削減目標を前倒して達成し、更新を急ぐ必要がある。それなのに温暖化対策をけん引してきた英仏独の政情が安定せず、求心力を下げている。

 日本は、国内外で石炭火力発電を推進する姿勢や消極的な削減目標が、国際会合の場で批判の的になってきた。

 政府は、もう一つの海洋環境の問題であるプラスチックごみの削減に向け、6月に大阪市で開く20カ国・地域(G20)首脳会合までに戦略をまとめる。「環境と経済成長との好循環を実現する」と意気込むけれど、この分野でも他国に比べ対応は遅れている。

 策定中の低炭素成長戦略と合わせ、実効性の高い対策を内外に示して信頼を取り戻し、環境問題に臨む国際社会の機運を盛り返してもらいたい。

(2月6日)

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