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19年度県予算案 持続可能な県どうつくる

 長野県の2019年度の当初予算案が公表された。

 阿部守一知事の3期目で初めての予算編成である。18年度から始まった新たな県政運営指針の本格展開を図るという。重視したのは「未来への投資」と「人口減少社会への対応」だ。

 知事はきのうの記者会見で「次の時代の長野県をしっかりと築いていけるように力を入れて編成した」と述べている。

 今後4年間の方向性を県民に示す重要な予算案だ。必要な経費を盛り込み、不必要な経費はそぎ落としているか。将来にわたって豊かに、安心して暮らせる長野県につながるのか―。検証していかなければならない。

 一般会計の総額は8859億円である。本年度当初より395億円の大幅増となった。

 国の緊急対策予算を活用した防災・減災事業に386億円を計上し、集中して進める影響だ。予算規模は過去10年間で最大となる。緊急対策予算分を除くと約10億円(0・1%)の微増になる。

<台所事情は厳しく>

 近年になって頻発している自然災害を踏まえて実施した「重要インフラの緊急点検」の結果を踏まえている。道路や河川、治山などの事業を本年度から3年間で集中的に実施する内容である。

 災害はいつ発生するか分からない。備えは必要だ。ただし、これによって県債の発行額が膨らみ、残高は6年ぶりに増加する。

 総額は1兆5770億円となり、県民1人当たり76万円余の計算となる。増加は20年度まで続く見通しになっている。

 台所事情は厳しい。

 中期財政試算によると、消費税増税分や経済成長を見込み、20年度の県税収入は、19年度の2330億円から約100億円増となる。21年度以降も増加を見込む。

 それでも歳出は社会保障関係費などが増加し、財源の不足額は拡大していく。預貯金に当たる基金は取り崩しが進み、18年度の553億円が23年度には125億円にまで減少する。

 老朽化が進んだインフラの補修などは今後も必要になる。27年に県内で開催予定の国体に向けて施設改修も求められる。同年に開通予定のリニア中央新幹線の関連道路建設でも県は500億〜700億円を負担する見通しだ。

 経済成長を前提とした県税収入の先行きも不透明だ。国の財政状況も見通せない。

 財政の硬直化が進む中、必要な事業と不必要な事業を見分け、経費を可能な限り抑える「選択と集中」がより求められる。

 総務省の18年の人口移動報告では、長野県を含む39道府県が転出超過となった。東京周辺の一極集中が止まらない。

 長野県の調査では海外からの転入者を加算するとわずかながら転入超過となるものの、人口は1万2千人余り減っている。

 地域の魅力を向上させるには、伸びやかに子育てができて、安定して収入が得られる環境が必要だ。老後も安心して生活できる態勢も求められる。

<魅力向上に向けて>

 その意味で県の予算案の方向性は理解できる。

 幼児教育の質を高める支援センターの設置や、国の幼児教育無償化の対象とならない信州型自然保育(やまほいく)認定園利用者の保育料軽減など、工夫もある。

 県産品のマーケティングを支援する営業本部設置や、新たな産業集積や生産性向上を図る取り組みも必要だろう。医療・介護体制の充実も掲げている。

 大切なのは、それぞれの項目で確実に成果を出していくことだ。現状では構想段階で具体性に欠ける計画が少なくない。市町村と一体となって地域のまちづくりを進める方策も欠かせない。長野県の魅力をアピールする工夫も練らなければならない。

 具体策を実行する段階に備え、十分な予算を確保するためには行政や財政の刷新が求められる。

 県は来年度に行政・財政改革実行本部を設置して、人口減少時代に対応した行政のあり方を研究するという。中長期的な視点を持って無駄を省き、効率的な行政を構築していく必要がある。適正な職員規模も探ることになるだろう。

<実効性ある改革を>

 ただし、実行本部の詳細は未定だ。事務局を担当する部局も決まっていない。阿部知事は「実効性ある改革、改善が行われる体制をつくりたい」とする。

 阿部知事は初当選した際、事業の要不要などを県民が議論して判定する信州型事業仕分けを公約に掲げた経緯がある。

 事業仕分けはその後、県議会の反対などを受け、各事業について県民の意見を聞く「県民協働による事業改善」に形を変え、規模も縮小されている。

 「今後は厳しくなる」(阿部知事)という財政状況の認識を県組織や県議会で共有し、持続可能な新たな県の姿をどう描くのか。阿部県政3期の真価が問われる。

(2月7日)

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