長野県のニュース

豚コレラ拡大 封じ込めへ対策徹底を

 豚コレラの感染が長野を含む5府県に広がった。計1万5千頭を殺処分する事態になっている。

 昨年9月に岐阜市で26年ぶりに発生して以降、岐阜県内で拡大していた。それが先日、愛知県豊田市の養豚場で発生し、ここから子豚を仕入れた長野、大阪、滋賀の養豚場でも感染が判明した。

 これ以上の拡大は防がなければならない。封じ込めに全力を傾ける必要がある。

 経過をみると、行政や業者による対策が徹底せず、感染が疑われた場合の初動のまずさが拡大につながった面がある。関係者の危機意識は十分だったか。問い直し、対策に生かさねばならない。

 ウイルスによって起きる豚やイノシシの伝染病で、唾液やふん尿を介して感染する。強い伝染力と高い致死率が特徴だ。人には感染せず、感染した豚の肉を食べても人体に影響はない。

 豊田市の養豚場が豚に食欲不振などの症状がみられると愛知県に連絡したのは今月4日。県は5日になって出荷自粛を要請したが、既に同日朝、80頭が宮田村の養豚場に出荷されていた。

 豚コレラへの警戒が続く状況下で、様子がおかしければ出荷を見送るべきではなかったか。

 さらに、愛知県から長野県への連絡が遅れ、宮田村の養豚場が松本市の食肉処理場に豚を出荷するのを止めることができなかった。出荷された豚の一部から感染が判明し、処理場は操業の一時停止を余儀なくされた。

 感染力が強いため、少しの対応の遅れが結果的に大規模な拡大を招いてしまう恐れがある。

 岐阜県の感染がなぜ豊田市に飛び火したのか、感染経路の解明も重要だ。岐阜では野生のイノシシが広げたとみられているが、同県の感染地域と豊田市の養豚場は数十キロ離れている。

 農林水産省は、岐阜県と豊田市の両方に出入りしていた飼料会社の車両の消毒が不十分で、ウイルスが侵入する要因になった可能性があるとの見方を示している。

 ウイルスを媒介するのは、野生動物のほか犬や猫、人の履物や車のタイヤなどが挙げられる。

 消毒や、野生動物の侵入防止、疑わしい豚がいればすぐ家畜保健衛生所に連絡するなど、地道な対策を確実に実行していきたい。

 食肉業界からは、消費者の間に豚肉を敬遠する風潮が広がることを懸念する声が出ている。人体への影響はないことなど、正確な情報を伝えていく必要がある。

(2月8日)

最近の社説