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米朝再会談へ 説得力ある合意は成るか

 米朝首脳の2度目の会談が27、28日、ベトナムで開かれる。

 日程を明かした一般教書演説で、トランプ大統領は「私が大統領に選ばれていなければ北朝鮮と戦争になっていただろう」と成果を誇示した。

 確かに北朝鮮の核実験やミサイルの試射は止まった。けれど、非核化に向けた具体的な動きは見られない。一連の駆け引きで得たものは、北朝鮮の側に大きいのではないだろうか。

 昨年6月の初会談では、共同声明に(1)新たな米朝関係の確立(2)朝鮮半島の平和体制構築(3)完全非核化への努力―の三つの柱が盛られた。その後、進め方を巡って米朝の主張が対立し、いずれの約束も前進しなかった。

 金正恩朝鮮労働党委員長は1月、側近を米国に派遣し、再会談の確約を取り付けた。拒み続けた実務者協議にも応じている。

 米大統領選へのロシア介入疑惑や政府機関の閉鎖で政権は揺らいでいる。外交得点を稼ぎたいトランプ氏の足元を見た、北朝鮮の戦術との見方が専らだ。

 米国は、完全非核化が実現するまで経済制裁圧力を維持する構えを崩していない。ただ、圧力のたがは緩み始めている。

 国連の専門家組織は、北朝鮮が中国に漁業権を売って外貨を獲得し、海上で物資を積み替える「瀬取り」で石油精製品を密輸入している、と指摘する。

 金氏が、ミサイルの実験場と発射台、核兵器の原料施設の廃棄を宣言したことを理由に、中国やロシアは制裁解除を訴える。

 米国家情報長官は先日、議会上院で「北朝鮮は核兵器と製造能力を完全には放棄しそうにない」と証言した。研究機関からは、秘密の原料施設の存在やミサイル基地拡張の報告が相次ぐ。

 共同声明や制裁決議に対する違反の疑いを承知しながら、トランプ氏は再会談を決めた。北朝鮮から非核化への行動を引き出すため朝鮮戦争の終戦宣言に応じる、韓国との経済協力事業の再開を認める、といった米側の「譲歩」が取り沙汰されている。

 求められるのは、相手の腹を探り合って一枚一枚カードを切ることではない。非核化の期限を設定し、三つの柱を実現する確かな行程表を示すことだ。

 トランプ氏は演説で「米国の国益を第一とした外交を追求する」と述べた。北朝鮮の核の脅威を除くには、国際社会の連携が不可欠であることを忘れずに、再会談に臨んでもらいたい。

(2月8日)

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