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統計不正の解明 与野党とも役割を果たせ

 厚生労働省の統計不正は国会での解明が進まない。ようやく実現した参考人招致も大きな進展はなかった。

 与党の後ろ向きな姿勢に加え、野党の追及は迫力を欠いている。行政のチェック役としての責任を与野党ともに果たしていない。

 統計部門の責任者だった大西康之元政策統括官が参考人として衆院予算委員会に出席した。1日付で事実上更迭されている。野党が招致を求めていた。

 与党は、後任が答弁すべきだとして参考人招致を拒んできた。根本匠厚労相は「引き続き職務を担わせることは適当でないと考えて人事を行った」とするものの、国会に出席させたくなかったのではないか。

 厚労省では、毎月勤労統計で東京都の対象事業所のうち3分の1ほどしか調べていなかった。賃金構造基本統計は本来の訪問調査ではなく郵送調査をしていた上、総務省の一斉点検に対して不正を隠した。どちらも国が特に重視する基幹統計である。

 大西氏は二つの統計に関与していた。勤労統計で組織的な隠蔽(いんぺい)はなかったのかなど、経緯をはっきりさせるため説明を求めるのは当然だ。与党は予算案の審議を始める交換条件として招致を温存していた節がある。真相解明への本気さを疑わせる。

 予算委で大西氏は勤労統計の不正を昨年12月13日に初めて知ったとし、上司への報告は18日だったとした。根本氏が問題の報告を受けたのが20日、安倍晋三首相への報告は28日だ。この間に勤労統計の確報値が発表され、19年度予算案も閣議決定された。

 問題発覚後、報告が遅れたのはなぜか。首相は「事実を把握した後、必要な指示を行い、全力で対応に当たった」と厚労相を擁護するものの、重大さをどこまで認識していたのか疑問が残る。不正を始めた時期や動機を含め、引き続き究明しなくてはならない。

 勤労統計の不正では厚労省の特別監察委員会が「組織的な隠蔽は認められない」とする報告書を公表した。監察委の中立性も揺らいだままだ。身内の職員だけでの聴取や幹部の同席が判明し、調査の全面的なやり直しを決めた。

 監察委員長は独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の理事長が務める。与党は委員長ではなく機構理事長の立場でなら―と参考人招致に応じている。委員長は理事長としての出席を理由に答弁を避ける場面が目立った。これでは不信が募るばかりだ。

(2月9日)

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