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財政健全化 甘い想定いつまで続ける

 国の借金は1千兆円を超えて膨らみ続けている。危機的な財政の立て直しは待ったなしの課題だ。

 政府が示した新たな中長期財政試算は、健全化目標の達成を2026年度とした。昨年7月の前回試算より1年早まっている。

 相変わらず、高い経済成長率を想定する楽観的な試算である。説得力を持たない。厳しい現実を政府は直視するべきだ。

 基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指している。政策を行うのに必要な費用を税収などの基本的な収入でどれくらい賄えているかを示す。黒字になれば、新たな借金をせずに政策経費を確保できる。25年度の達成を目標としている。

 試算によると、25年度に国・地方合わせて1兆1千億円の赤字が残る。社会保障費の抑制や税収増が反映され、赤字幅は前回の試算から半減した。26年度は1兆円の黒字になるとしている。

 実際は甘くない。試算は、20年代前半に国内総生産(GDP)成長率が実質2%、名目3%以上となる高成長を見込んでいる。現在の実力とされる1%程度の成長率が続くケースでは、28年度でも6兆2千億円の赤字となる。

 不安な点は他にもある。消費税増税に伴う景気対策で19、20年度の収支は前回試算より悪化するものの、その後は改善するとの政府の見立てだ。五輪後の経済の冷え込みも懸念される。本当に景気対策をやめられるのか。

 安倍晋三首相は、1月の施政方針演説で「負担を次の世代へと先送りすることのないよう25年度のプライマリーバランス黒字化目標の実現に向け、財政健全化を進める」とした。決意を語るだけで具体策には触れていない。

 もともとは20年度を目標としていた。消費税率引き上げによる増収分の使い道を変えた後、首相が先送りした経緯がある。借金抑制など社会保障制度の安定化に使うはずだった税収の一部を教育無償化などに回したためだ。

 首相の自民党総裁任期は21年9月までだ。目標の達成時期は、その先になる。在任中に確かな道筋を付ける責任がある。

 歳入、歳出の両面で改革を進めなくてはならない。とりわけ高齢化で膨らむ社会保障費が焦点になる。小手先の抑制策ではなく、給付と負担の在り方についての踏み込んだ検討が求められる。

 7月に参院選を控える。不興を買うまいと、痛みを伴う議論を先送りすることは許されない。

(2月11日)

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