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学校とスマホ 持ち込み禁止解く前に

 やむを得ない、では片付けられない。

 文部科学省が、小中学校への携帯電話やスマートフォンの持ち込みを原則禁止した現行の通知を見直す方針を示した。災害時の親子の連絡手段を確保するためという。

 携帯を持つ子どもの割合は増え、日常的にインターネットにふれている。教室でも情報通信機器が使われている。

 だからといって持ち込みを解禁すれば、急増する子どもたちのネット依存、会員制交流サイト(SNS)を通じた犯罪被害やいじめを助長することにならないだろうか。家庭の経済事情で携帯を持てない子もいよう。

 文科省は2009年の通知で、小中学校への持ち込みを原則禁止すべきだとし、高校にも生徒の使用を制限するよう求めた。法的拘束力はなく、実際は学校ごとに規則を設けている。

 大阪府教育庁は先日、全国に先駆け、小中学校への持ち込み容認を決めた。昨年6月の府北部地震が登校時間に重なり、子どもと連絡を取れなかった保護者から改善を求める声が上がっていた。

 西日本豪雨に見舞われた広島県の教育委員会は、高校での解禁を検討する。共働きの世帯が多く、長野県を含む各地の保護者からも同様の訴えが聞かれる。

 解禁しても、携帯を持たない、持てない子が出てくる。通信不能の事態も考えられる。安否確認は通学路の住民にも協力を求め、学校と保護者で複数の手だてを講じておきたい。

 府教育庁は、使用を登下校時の緊急時に限り、校内ではかばんに入れて操作しない―といった条件を付けている。遊ぶな、と言う方に無理があろう。

 厚労省は昨年8月、病的なネット依存が疑われる中高生が、全体の7人に1人に当たる93万人に上ったとの推計を公表、教育関係者に衝撃が走った。5年前に比べ倍近くに急増した。

 国の無策ぶりを物語る。ゲームやSNSを使い過ぎる依存症は近年、児童や園児にも広がっているとの分析もある。

 学校への持ち込みを解く前に、教室でこそネットの利便性と同時に、危険性や適切な使い方を、外部機関の力も借りて子どもたちに伝えなければならない。

 文科省は現場の意見を聞き、慎重に検討するとしている。結論を待つことはない。学校ごとに、教員と保護者、児童や生徒も交えつつ、生活を取り巻くネット環境について話し合いを進めたい。

(2月21日)

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