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学童保育 見守る目弱まらないか

 放課後に小学生を預かる学童保育(放課後児童クラブ)は共稼ぎの親やひとり親の大きな支えだ。子どもたちが安心して過ごせる居場所にもなってきた。その土台が揺らがないか。

 学童保育は現在、おおむね40人以内の子どもに対して常時2人以上の職員を置くことが義務づけられている。この基準の扱いを変えて職員1人でもできるように児童福祉法を改めるという。政府が閣議決定した地方分権に関わる一括改正法案に盛り込まれた。

 職員の配置基準は、厚生労働省が2015年度、児童福祉法に基づく省令で定めた。職員のうち1人は、保育士や社会福祉士の資格を持ち、支援員の研修を修了している必要がある。

 「従うべき基準」としてきた規定を「参考にすべき基準」に“格下げ”して縛りを緩め、市町村の裁量の幅を広げる。義務づけではなくなるため、資格を持たず研修も受けていない職員1人で子どもたちを預かることも、自治体の判断によっては可能になる。

 人手の確保が思うに任せないことが背景にある。学童保育も保育所と同様に受け皿は足りていない。待機児童は都市部を中心に1万7千人余に上る。定員を増やそうにも、基準を満たすだけの職員を集めるのが難しい。

 一方で、子どもが数人でも、支援員を含めて職員を複数置く必要があるため、中山間地などでは確保できずに中止したところがあるという。基準の見直しや地域の実情に応じた裁量の拡大を求める声が自治体側から出ていた。

 ただ、職員が減れば保育の質は低下する恐れがある。市町村によって格差が生じることにもなりかねない。支援員や保護者の全国組織は、子どもたちに安全で安心な生活の場を保証できなくなるとして強く反対している。

 職員は大半が非正規雇用で、週5日以上勤務しても年収150万円に満たない人が半数近くを占める。低い賃金と不安定な雇用が人手の確保を難しくしている。処遇改善のため財政面の手当てを拡充することこそが欠かせない。

 学童保育は、いじめや虐待をはじめ子どもが直面している困難に気づき、支援につないでいく場にもなる。一人一人に丁寧に目を配ることが何より大事だ。その態勢を弱めるべきではない。

 実際に学童保育を運営する基準は各市町村が条例で定める。安心して子どもを預けられる場になっているか。行政と議会の姿勢に目を向けていく必要がある。

(3月11日)

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