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申立人の名「王子様」を「肇(はじめ)」に変更することを許可する―。山梨に住む18歳の男子高校生が受けた甲府家裁の審判結果だ。この春、卒業し大学に進む。戸籍の名の変更は、新しい世界に踏み出すのに欠かせない一歩だったのだろう

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自己紹介をするたび女の子に笑われた。名前を記入する手続きの際はいつも偽名と疑われた。「唯一無二の王子様のような存在」。そんな母の願いを知ってもみじめな思いが募った。改名を決意し打ち明けると父は「おまえの人生だ」と賛成してくれた

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戸籍の名は15歳以上なら本人が変更を申し立てられる。生活に支障が出るなど「正当な事由」が必要だ。こんな例もある。田中角栄ブームにあやかって息子に「角栄」と名付けたが、汚職事件で批判を浴びると息子がいじめられた。12歳の時、父親が申し立てて改名が認められた

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子の不幸を願って命名する親などいない。けれど独り善がりでは子が後々苦労する。近年「キラキラネーム」が増えている。王子様もその一つだろう。アニメキャラクターのような名に無理に漢字を当てるせいだろうか。読み方が浮かばない名前も多い

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ネット上ではキラキラネームの名付け親への非難が激しい。安倍晋三首相は政権復帰前の2012年11月、講演で「親も指導しなければいけない」と述べている。政治が家庭に介入しかねない。親は子の将来を考え命名すべきだ。子は人生を自ら選び直すためにも改名の勇気を持っていい。

(3月14日)

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