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ワンセグ裁判 受信料の在り方論議急げ

 テレビを視聴できるワンセグ機能付きの携帯電話を持つとNHKと受信契約を結ぶ義務が生じる、とする判断を最高裁が示した。

 自宅にテレビがなくても受信料を払う必要が出てくる。影響は大きい。

 ネット時代の受信料について議論を深めなければならない。

 ワンセグとは携帯端末向けのテレビ放送のことである。10年余り前に始まった。基本的に、地上波と同じ内容を放送している。

 受信料を既に払っている人は、ワンセグ端末を持っても新たに契約を結ぶ必要は生じない仕組みになっている。裁判は、自宅にテレビを持たず受信契約を結んでいない人のうち、ワンセグ端末を持つ視聴者に対し、契約を結ぶよう求めてNHKが訴えていた。

 NHKを受信できる「設備を設置」した者は「受信についての契約をしなければならない」―。放送法64条だ。

 裁判では、ワンセグ端末を持つことが「設備の設置」に当たるかどうかが争点になった。

 今回最高裁が一括して判断を示した4件の訴訟のうちの1件でさいたま地裁は、「設置」と考えるのは「無理がある」としてNHKの訴えを退けている。この裁判の控訴審と、他の3件の一審、二審ではいずれも契約義務が認められ、NHKが勝訴した。

 そして今度の最高裁の決定だ。ワンセグ問題に法的には決着がついた形になった。

 ただし、放送法の規定は携帯端末が普及していない時代に定められた。若い人を中心に自宅にテレビを持たない人が増える一方、スマホやカーナビで放送を見る人が多くなっている。放送法の規定が時代に追いついていない。

 政府はこの国会に、番組のインターネット常時同時配信をNHKに認める法案を出している。ワンセグに加えてネットでもテレビ放送を見られるようになる。NHKはネット配信でも受信料を徴収したい考えだ。受信料制度はさらに変容を迫られる。

 ネット時代の公共放送の在り方は世界共通の課題である。ドイツは2013年、受信料制度を廃止して全ての世帯から「負担金」を集める仕組みにした。不払いには罰則がある。税金に近いやり方だ。仮に日本で導入しようとしたら激論になるだろう。

 受信料には制度疲労が目立つ。NHKの公共性を確保しつつ、経営基盤をどう整えていくか。憲法が国民に保障する「知る権利」にも関わる重要な問題である。

(3月15日)

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