長野県のニュース

「平成」公文書 公開延期は密室性高める

 秘密主義を押し通すつもりなのか。

 1989年1月に元号を「平成」に改めた際の過程を記した公文書の公開が、延期される見通しになった。

 本来は3月末が保存期限で、4月には原則公開されることになっていた。政府は5月1日の改元への影響を懸念し、1年以上先送りする方針という。

 公文書管理法施行令などで、公文書の保存期間は「最長30年」とされる。保存期限を過ぎた文書は国立公文書館などに移され、個人情報や国の安全性に関わる文書以外は原則公開される。

 ただし、所管する行政機関の判断で、廃棄や保存期間の延長も選ぶことができる。

 新元号は4月1日に閣議決定され公表される。その時期に前回の詳細な経緯が明らかになれば、静かな環境での元号選定作業に影響を与える可能性があるとする。

 前回の選定過程の大部分は分かっていない。考案者も明らかになっておらず、どんな論議がされたのかも不明だ。

 それなのに政府は今年2月、平成改元時の手続きを踏襲して新元号を選定すると決めている。前回の選考過程を第三者が検証しないままでは、前例踏襲を決めた根拠を国民が知ることはできない。

 本来は政府が今回の選定手続きを決める前に、前回の過程を公開するのが筋だ。当初の期限通りに公文書を公開するべきである。延長方針は認められない。

 政府が改元を国民不在で進める意向なのは明らかだ。

 新元号の原案に対する意見を聞く有識者懇談会は、公表当日に開催される。時間は40分間程度しかない見通しだ。

 しかも各界から選ばれた参加者には原案が当日示され、その場で意見を求められる。これでは国民の声を聴いたというアリバイ行為にしかならないだろう。

 元号は国民の生活に根深く関わる。前回の決定過程を明らかにせず、今回も密室で決めるのでは、国民の知る権利が侵害される。

 政府の判断で公文書の保存期限を延期できるのも問題だ。

 保存期間中は情報公開請求があっても、政府の判断で開示を拒むことができる。その上、保存期間を自由に延長することができれば、政府に都合の悪い情報を隠し通せる。

 公文書管理法には、行政文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」とある。公開は政府の義務であることを忘れてはならない。

(3月15日)

最近の社説