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高校入試改革 現場の声踏まえ見直しを

 前期選抜を導入した2004年度以来の大きな入試改革になる。高校へはほとんどの子どもが進む。誰にも分かりやすい制度になっているか。受験生に無用な重圧をかけることにならないか。念入りな点検が必要だ。

 県教委が公立高校の新たな入試制度案を示した。この春、中学校に入る生徒たちが受験する22年度入試から導入するという。

 前期、後期の2段階で選抜する大枠は維持し、面接や作文が中心の前期にも学力検査を課す。後期にはAとB二つの選抜基準を設け、B基準では、評価の重点を置く教科を各高校が決めて選抜できるようにする。

 子どもの考える力を重視する学習指導要領の改定や大学入試の改革を踏まえ、受験生の能力、資質を多面的に評価できる入試にしたいと県教委は説明している。ただ、あれもこれも継ぎ足して複雑になりすぎた面が否めない。

 後期選抜は、学力検査のほかに面接、グループ討議、実技などを各校の判断で実施できる。B基準の合格者は定員の3割以内とする。前期選抜を実施する高校は後期でB基準を採用できない…。

 すんなりとはとてものみ込めない仕組みだ。受験する生徒も指導する教員も戸惑うのではないか。何を評価するかの幅も広がる。受験対策に目が向くあまり、中学校での本来の授業や活動がおろそかにならないか心配になる。

 前期選抜はもともと、学力検査では測れない多様な個性を評価する狙いで導入された。学力検査を課し、一方で後期選抜を多様化させるのなら、あえて残す意味はないようにも見える。

 県教委が設けた有識者らの検討委員会でも後期との一本化が議論されたが、複数校を受験できなくなるといった反対意見が出て見送られた経緯がある。前期、後期の枠組みは維持するにしても、それぞれの位置づけを明確にして、もっと分かりやすい仕組みにする余地はあるはずだ。

 入試改革をめぐる議論は、熟しているとは言いがたい。受験生や中学校にどんな影響が及ぶのか。各高校は入試のあり方をどう考えているのか。現場から声が積み上げられたとも思えない。

 検討委はおよそ半年間に6回開いただけで提言をまとめている。県教委は今後、意見公募を経て夏にも新しい制度を固めたいとするが、日程ありきで拙速に進めてはならない。県民や教育現場の意見を踏まえた見直しを怠れば、円滑な移行は望めない。

(3月30日)

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