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妻籠宿景観 空き家の悩み 重伝建指定後初の取り壊し

取り壊しが始まった妻籠宿の空き家取り壊しが始まった妻籠宿の空き家
 売らない、貸さない、こわさない―の3原則を盛り込んだ住民憲章を作り、旧中山道の風情を伝える町並み保存で知られる木曽郡南木曽町の「妻籠宿」で、空き家1棟の取り壊しが始まった。1976(昭和51)年、全国に先駆けて国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されてからは初めて。床が抜けるなど傷みが進んで「やむを得ない」とし、町は景観に配慮した観光交流施設を新たに建てる方針だが、空き家は増える傾向にあり、関係者は先行きに頭を悩ませている。

 解体されているのは、南北に旧家が連なる街道筋の一角で、昭和20年代に建てられた木造2階建て。江戸時代の民家も多い妻籠宿では比較的新しいが、伝統的な工法で建てられ景観に溶け込んでいる。

 約20年前に住民が転居して空き家になり、愛知県在住の家族が数年前から、住民組織「妻籠を愛する会」と引き取りなどを協議。昨年夏、町に寄贈されたが、床や天井などの傷みが進み、町が現状での改修や利活用は難しいと判断した。文化財としての価値が高く、改築などで文化庁と協議が必要な「特定物件」ではない。町は、隣接する同会所有の木造2階建ての空き家も併せて改修し、平屋の観光交流施設を約3700万円で整備するという。4月下旬までに解体を終える。

 向井裕明町長は「景観上とてもいい場所。残せるものなら残したかったが、資金面などの現実もある」。同会理事長の藤原義則さん(71)は「3原則を変えるわけではない」としつつ、景観保全を優先して現実に柔軟に対応していくしかないとしている。

(4月9日)

長野県のニュース(4月9日)