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亡き友に学んだ「命の尊さ」 信大医師盛田さん、道徳教科書に

信大病院で看護師と話す盛田さん=12日信大病院で看護師と話す盛田さん=12日
 3月の教科書検定に合格した小学校の道徳の教科書に、信州大病院(松本市)の小児科医、盛田大介さん(36)が取り上げられた。中学生の時に白血病を患い、県立こども病院(安曇野市)に入院。そこでともに闘病生活を送り、神経のがんで11歳で亡くなった宮越由貴奈さん(諏訪郡富士見町出身)が残した詩をきっかけに医師を志した。「電池が切れるまで」の題名で書籍やドラマになった宮越さんのその詩と盛田さんのエピソードが4ページにわたって紹介されている。

 掲載されたのは光文書院(東京)の小学4年生向けの「小学どうとくゆたかな心」で、2020年度から採用校で使われる。

 盛田さんは中学1年の時に急性リンパ性白血病を発病。「なんで自分だけ」と、入院当初は個室に引きこもりがちだったという盛田さんを救ったのは、同じように重い病気で入院していた子どもたちだった。遊びにいこうよ―と院内学級に誘ってくれた。「精神的に白血病を克服できたのは彼ら、彼女らのおかげ」と盛田さんは振り返る。

 しばらくして再入院してきた宮越さんもその一人だった。院内学級でも半年ほど一緒に過ごし、年上の盛田さんを「プラス思考でね」と励ましてくれた。盛田さんは約1年で退院した。だが、宮越さんはその後、別の病院で亡くなった。約5年半の闘病生活の末だった。

 「命はとても大切だ人間が生きるための電池みたいだでも電池はいつか切れる命もいつかはなくなる」「私は命が疲れたと言うまでせいいっぱい生きよう」

 宮越さんが亡くなったと聞いた盛田さんは彼女の自宅を訪ね、仏壇に飾られた「命」と題する詩を目にした。涙が止まらなかった。「精いっぱい生きて、病気で苦しむ子どもを一人でも助けたい」。教科書には、盛田さんのこの時の決意が明かされている。

 家族の後押しも得ながら大学医学部に進み、念願の小児科医になった盛田さん。宮越さんの詩と自身が小児科医になるきっかけが教科書で紹介されたことで「病気に苦しまず普通に暮らせることはとても尊いことだと、子どもたちに気付いてもらえればうれしいですね」と話している。

(4月13日)

長野県のニュース(4月13日)