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アサンジ氏逮捕 ロシア疑惑の行方を注視

 内部告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ容疑者がロンドン警視庁に逮捕された。

 ウィキリークスは2016年の米大統領選で民主党候補クリントン陣営のメールを暴露した。ロシア当局が選挙介入のため入手し、流出させたとされるメールである。

 身柄が米国に引き渡され、ロシアによる選挙介入疑惑に新たなメスが入るのか―。今後の最大の注目点だ。

 ウィキリークスは政府や企業の関係者に内部情報の提供を呼び掛け、公表するサイトである。アサンジ容疑者が中心になって06年に立ち上げた。

 9年前、アフガニスタン戦争に関する米軍の機密文書9万点を公開している。イラク戦争の文書も公開、民間人犠牲者が6万6千人にのぼることを暴露した。

 中でも注目されるのは米大統領選にからむ疑惑である。ロシア当局がサイバー攻撃で入手したとされるクリントン陣営のメールを公表。結果はトランプ陣営に有利に働いたとされる。大統領は「ウィキリークスが大好きだ」と集会で述べたことがある。

 アサンジ氏は性犯罪の疑いで10年に英国で逮捕され、保釈中にロンドンのエクアドル大使館に駆け込んだ。以来、籠城が続いていた。今回身柄が拘束されたのは、エクアドル政府が氏を見放したためである。

 氏がウィキリークスを立ち上げた動機ははっきりしない。同様に機密を暴露し、ロシアに亡命中の米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン氏の場合は、情報機関による違法な盗聴や個人情報収集を告発するのが目的だった。米国内には氏を恩赦にするよう求める声がある。

 アサンジ氏については、訴追しないよう求める声は今のところ大きくない。スノーデン氏と同列には論じられない。

 それでもウィキリークスが明るみに出した事実は重大だ。政府の隠蔽(いんぺい)体質を暴いている。

 大統領選でのトランプ陣営とロシア当局の共謀関係については、はっきりした結論が出ていない。割り切れなさが残ったままだ。アサンジ氏の逮捕を機に、解明が進むことを期待したい。

 米憲法には、表現の自由、報道の自由の制限は許されないとする条文がある。ウィキリークスの暴露が表現・報道の自由の範囲内と見なされた場合は、裁判で無罪になる可能性がある。これも注目点の一つだ。

(4月14日)

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