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ギャンブル依存 対策が形だけになる懸念

 政府が閣議決定したギャンブル依存症対策推進基本計画は、関係事業者や省庁の取り組みを列挙した。

 今回の計画は出発点にすぎない。実態把握をさらに進め、対策を随時、練り直していく必要がある。

 統合型リゾート施設(IR)整備の前提となるものだ。昨年施行された依存症対策基本法に基づき策定した。カジノを解禁するため依存症対策に取り組むというちぐはぐさを元々、抱えている。

 本来、もっと早く対応しなければならない課題だった。形だけに終わる懸念は拭えない。

 競馬、競輪などの公営ギャンブルやパチンコの事業者に対し、施設・店舗から現金自動預払機(ATM)の撤去を求めるといった対策が並ぶ。パチンコでは、本人の同意がなくても、家族からの申告で入店を制限する仕組みを来年春までに導入するよう促す。

 新聞や雑誌の広告は一定の大きさの文字で依存症への注意を喚起し、テレビCMも一定の時間を使うよう指針で定める。

 取り組みの多くは事業者への要請にとどまる。依存症の防止につながるか、効果を検証しつつ進めることが欠かせない。

 依存症患者や家族に対応する体制を整えるため、相談・治療拠点を全都道府県と20政令市に設置する。今年2月の時点で相談拠点は31自治体、治療拠点は16自治体にとどまっている。

 計画の対象期間は2019年度から3年間だ。政府は、必要に応じて見直していくとしている。

 計画案に対する意見募集(パブリックコメント)では、当事者の華族や支援する団体の関係者を策定の場に加えるよう求める声が寄せられた。閣議決定で一区切りとせず、幅広く当事者らの意見を聞き、反映させていくべきだ。

 17年度の調査で、依存症経験が疑われる人は3・6%と推計された。国勢調査のデータから計算すると約320万人に上る。過去1年間に依存症状態だったと疑われるのは0・8%、約70万人だ。

 対策の見直しに向け、さらに詳しく調べることも急務である。計画は、多重債務や貧困、虐待、自殺、犯罪といった問題を含め実態調査を行うとしている。

 課題の多さを見るにつけ、従来の取り組みの遅れを痛感する。このままカジノを解禁していいのかとの疑問も募る。カジノ法は依存症対策など詳細を十分に詰めないまま成立した経緯がある。計画と合わせ、改めて国会で問題を掘り下げるよう求める。

(4月21日)

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